【能登支援・災害支援スポーツネットワーク 】石川県との包括連携協定の背景と私たちの想い

こんにちは!スポーツを止めるな広報です。

石川県とスポーツを止めるなは「スポーツを通じた能登の復興支援やスポーツの振興などに関する包括連携協定」を結び、3月17日(月)に石川県庁で締結式が行われました。
 今回は締結式の様子とともに、支援を始めた背景や私たちが考える「スポーツによる災害支援活動」についてお伝えします。 

2024年4月に能登を訪れて

共同代表の最上・廣瀬は、震災翌日から能登各地で被災地支援に尽力されている一般社団法人NOTOTO.のご協力のもと、柔道家の井上康生さんや谷本歩実さんらと共に、2024年4月に珠洲市・穴水町・羽咋市を訪問し、瓦礫処理や炊出しボランティアと、地元の子供たちを対象とした柔道教室・スポーツ教室を行いました。 
訪問時はライフラインもまだ復旧しておらず、ご自宅とは離れた地域での避難生活を強いられている方も多く、瓦礫撤去や泥の掻き出し等の復旧が思うように進んでいない状況でした。倒壊した家の中で倒れたままになっていた重い家具や瓦礫を外に運び出したり、雨水を含んだ泥を掻き出したりする作業は想像以上の重労働で、高齢の方には到底難しく人手が全く足りていないことを痛感しました。 
訪問する前は、「まだまだ生活が不安定な時期に、我々が行ってご迷惑にならないか・・・」と不安もありましたが、スポーツ教室に参加してくださった学校の先生から、「子供たちがこんなに解放的になれたのは、震災以来はじめて」と伺い、まだまだ緊迫した状況にある中、ひと時でも皆さんの心が緩む時間を作れたことは意味があったのだと安堵しました。その一方、「スポーツを通してできることは、まだまだ沢山あるはず」とも実感しました。 

スポーツ界が結束して復興を志すためのハブ組織の必要性

能登から戻り多方面のスポーツ関係者やアスリートに見聞きした状況を伝えたところ、「能登のためにできることがないか気になっているけど、誰に相談すれば良いか分からず悩んでいた」「所属アスリートとも何か支援ができないかと話しているが、現地がどんなサポートを必要としているかが分からず具体的に動けない状態だった」等、復興支援に対する想いはあるが、どうしたら良いかわからないアスリート・チーム・スポーツ団体が多数あることがわかりました。 
また我々は、その後も被災地域へ訪問し地元の方からお話を伺ったり、現地の状況をよく知るNOTOTO.の皆さんから状況を聞いたりする中で、2024年9月の豪雨災害も重なったこともあり、地域ごとに被災の状況が全く違うこと、人口・住民の年齢分布・もともと抱えている課題などによって復興の方針や進度、求めているサポートが大きく異なることを知りました。また、復興は5年・10年の中長期戦であり、単発的な支援ではなく、継続的な支援が望まれていることも感じました。 
私たちは、災害復興への想いを持ったアスリートやスポーツ団体・チームと被災地をつなぐハブ組織の必要性を感じ、中間支援団体としての役割を担うことを決めました。 

スポーツを止めるなが考える「スポーツによる支援活動」

私たちは、支援活動を進めるにあたり2つの柱を掲げています。 
1. 被災地支援アクション
・有志アスリートによる現地支援活動
・スポーツ大会を誘致
・高齢者のフレイル対策支援活動
2. 被災地の現状発信
・定期的なメディア情報発信
・スポーツ界内における支援モデルの共有
被災地域での支援活動を行うだけでなく、隣接地域で「スポーツ大会」を開催し、選手・関係者・観客の皆さんと一緒に被災地域を訪れることで「関係人口づくり」を目指しています。 
また、被災地域の現状を「発信し続ける」ことも大切にしています。私たちから情報発信するだけでなく、発信力の高いアスリートの皆さんが現地で見たこと、聞いたこと、感じたことをSNSで発信したり、アスリート同志で話し合ったりすることも大きな意義があると考えています。 
今後は、地域の子供たちとアスリートの「顔の見える関係づくり」を通じた中長期にわたる支援を行うために、「ワンスクール・ワンアスリート」を軸とした活動の実施を目指しています。 

  「ワンスクール・ワンアスリート」によって期待する効果
・繰り返しコミュニケーションをするきっかけ 
・被災地にホームタウンを持つ感覚 
・自分ゴトとして観戦・応援するトップアスリートの存在 

将来的には、スポーツ界の各組織による災害支援を軸としたネットワークが構築され被災地と繋がること、今後新たな災害が発生した際に生かせるように知見の蓄積も目指しています 

石川県×スポーツを止めるな「包括連携協定」

これらの活動をさらに強力に推進できるよう石川県と協議進めた結果、この度「包括連携協定」を締結することとなりました今後も引き続き、被災地域やスポーツ界と連携し、復興に向けた様々な支援を進めてまいります。

【協定書に署名する馳石川県知事と最上当社団共同代表】

● 連携事項
(1)スポーツを通じた復興支援に関すること
(2)スポーツの振興に関すること
(3)そのほか、前条の目的を達成するために必要と双方が考えること 

● コメント 
馳浩様/石川県知事 
スポーツを通じた皆さんの活動が復興を後押ししていると実感しています。復興には10年の歳月がかかるため、本協定を通じて継続的に支援していただきたい。 
 
最上紘太/スポーツを止めるな共同代表理事 
2024年4月に被災地に足を運んで現地の状況を見たことで、「スポーツの力で被災地のためになることは沢山ある」と実感しました。我々が想いを持ったアスリートやスポーツ関係者と地元をつなぎ、中長期の支援を実現していきたい。 
 
廣瀬俊明/スポーツを止めるな共同代表理事 
地元の方とのコミュニケーションを通じて、被災地の最新の状況や本当に求められていることが何か初めてわかる。我々や連携するアスリートが実際に見た・聞いたことを発信することで、支援の輪を広げていきたい。 

【メディア取材を受ける様子