コラム

災害復興にスポーツの力を−災害支援スポーツネットワークが目指す新しい価値 (後編)

IOCサミットにて、スポーツを止める共同代表理事 最上紘太(左)と糸見涼介さん 

IOCサミットにて、スポーツを止める共同代表理事 最上紘太(左)と糸見涼介さん 

一般社団法人スポーツを止めるなが2024年の能登半島地震を契機として立ち上げた「災害支援スポーツネットワーク」。日本、そして世界でも増え続ける災害に対してスポーツは、アスリートは何ができるのか。
「災害支援スポーツネットワーク」では、災害復興への想いを持つアスリートやスポーツ団体と支援を必要とする地域をつなぐ活動を展開しています。被災地の課題に対してスポーツ界のアセットを活かし、一過性ではない中長期的な支援を実現、活動で得た知見は次の災害への「学び」として社会に還元していきます。
今回は「災害支援スポーツネットワーク」の能登支援活動に参加いただいた元バヌアツ陸上競技代表監督でありIOCヤングリーダーの糸見涼介さんに、災害や社会課題に対しアスリートが出来ることやその価値について、ご自身のこれまでのキャリアにも触れていただきながらお話を伺いました。(本記事は後編です。前編はこちら

スポーツ×社会課題に取り組む

最上:
IOCヤングリーダーとしての精力的な活動、素晴らしいと思います。
IOCヤングリーダー以前・以降でも糸見さんはスポーツと人権や社会課題といった観点から継続的な活動を続けていらっしゃいます。なぜそういった活動に取り組むようになったのか契機となったことはあったのでしょうか?

糸見:
やはり小・中・高・大とスポーツに取り組む中での違和感が実体験としてあります。最初は野球をやっていたのですが、20年前に始めた時はやはりコテコテの体育会系の雰囲気があり怒鳴られるのも日常茶飯事で、子どもながらになぜこんなに怒鳴るんだろうと思っていました。中学の時に駅伝を始めて、その時は非常に自由な環境で前向きに楽しく取り組むことができました。スポーツはもっと前向きで楽しくて、周囲にもよい影響を与えられるものなのではないかと考え、自分が尊重されている/されていないというだけの違いでここまで心持ちが変わることに気づいたんです。人権というか、ただスポーツに取り組むだけではなく「どうやって」スポーツに取り組めるかで得られるものも大きく変わることを発見しました。そういう考えがあり、バヌアツでは環境整備から取り組みました。それ以来、自分の考えてきたことを形にしてみようと行動し続けて、今に至ります。

最上:
アスリートが置かれている環境改善や人権、社会課題に継続的に取り組んでこられた活動は非常に価値があると思います。 私たちスポーツを止めるなは、「災害支援ネットワーク」や「1252プロジェクト」などの活動を継続的に続けていますし、これからはスポーツを通じた社会課題解決に携わる人材自体を増やしてけるような取り組みも進めたいと考えているのですが、糸見さんとして一緒に活動したいと思うようなことはありますか?

糸見:
まず一つは、1252プロジェクトと部活動の地域展開の活動で連携できたらいいなと考えています。部活動を地域のクラブに展開していくにあたって、やはり指導者に対する研修は市の責任として実施する必要があるという話になっています。その中でどういった研修を行えばいいかということを考えた時に、1252プロジェクトが大切にしている価値観である、指導者だけに教えるのではなく、選手や保護者、そのスポーツに携わる全ての人たちが一緒に考えていくことを重要視するという点に私自身共感しているので、自らの活動にも活かしていきたいと考えています。

災害支援スポーツネットワーク スポーツが災害復興を支える日本初のモデルに

最上:
現在世界的にも自然災害が増えている傾向にありますが、その中でも日本は災害に見舞われることが多い国だと思います。そうした環境の中で、発災した際にスポーツ界として連携して災害支援をしていく体制をどうにかして整えたいと私は考えていて、スポーツを止めるなとして活動を始めました。今回糸見さんに経験いただいたのは能登とJOCとの連携による活動ですが、今後能登ではない場所でスポーツのアセットを活用した災害支援を行うとした場合、どのようなことが届けられると思われますか?

糸見:
2025年11月末頃から国連開発計画(United Nations Development Programme : UNDP)のエチオピアで働いていて、内戦からの復興支援に携わっています。状況が許せばの話にはなりますが、アスリートの力を使った情報発信に取り組みたいと思っています。エチオピアには世界にも影響力のあるマラソンランナーをはじめとするアスリートがたくさんいるので、そういった方々の発信力を使ってエチオピアの現状を伝えていくことは、復興支援の観点からも一つの有効な手立てだと思います。
もう一つはバヌアツの話です。2025年10月には国際大会化されたヤスールボルケーノランには海外からも観光客が訪れました。元々はバヌアツの一つの島の経済振興、観光促進を目的とし実施した大会だったのですが、結果として災害復興の側面を持つことになりました。なぜかというと、2024年12月にバヌアツでマグニチュード7.4の地震が発生し、近隣諸国の観光客が同国へ観光を控えるような動きが出ました。観光業がGDPの30%を占める国であり、オーストラリアやニュージーランドといった国外に対して、「バヌアツは大丈夫なんだよ、観光もできるんだよ」というメッセージをこの大会を通じて発信していこうとなりました。その情報にどれだけの効果があったかは未知数ですが、スポーツイベントに向けて動いているという事実は人々を前向きにしたはずです。私はスポーツやアスリートの力を通じた発信の価値を信じているので、能登から離れた文脈でも活用していけるのではないかと思います。

最上:
なるほど、アスリートの発信力を使って災害復興に貢献するということですね。スポーツというものは、一過性の喜びや楽しみを与えるという価値もあると思いますが、公共制度に入っていくことでさらにその力が発揮される一面もあると私は考えています。例えば、糸見さんがおっしゃるようにアスリートの発信力を使うことで、その災害の状況や現在抱える課題などを知らせる力もあるし、被災地で大会を開催することになった場合は、アスリートだけではなく大会に関わる全ての人たちをその場所に連れていった上で当事者にさせるという側面もある。つまり、災害復興に関わる人口を増やすという力もあるし、被災されて運動不足などの課題に直接的にサポートを提供することもできる。様々な側面から中長期的に被災地を支援することができると考えています。

糸見:
スポーツは選手より大会やアスリートを支える人たちの方が私は多いと思っていて、そうした観点での活動も復興支援につながるものだと捉えています。能登でスポーツイベントや大会を開催するとなった場合、皆さん選手たちのプレーを見にいくことになるわけですが、観戦やその大会の運営を手伝うだけでも復興の当事者になるということだと思うんです。やはり当事者になるという経験が、今後その場所とのつながりを継続させていくための原動力になると思うので、「自分には特別なスキルがないから」と思うことなく被災地に関わっていけばよいと私は考えています。大会に足を運ぶだけでも復興支援の第一歩というイメージです。スポーツは被災地との関わりしろを増やすきっかけになれるのではないかと。

最上:
当事者になるという経験が復興支援の最初の一歩になるということですね。我々のような団体が直接的に被災地の状況を改善することは難しいのですが、スポーツと災害支援という観点で見ると、間接的に被災地の状況を社会に伝える、支援を必要とする場所へ訪問するといった支援の中での調整機能を果たすことはできると考えています。ここで大切なのは、一過性の支援で終わらせるのではなく、中長期的にそうした調整活動を機能させていくことです。また、一つの場所で得た知見は次の災害への「学び」として社会に還元していきたいと思います。世界的に見て、スポーツを体系的に災害支援に活用する事例はまだ多くはありません。だからこそ、私たちはこの日本初のモデルを世界に共有し、「スポーツが社会を支える」という新しい価値を広げていきます。
もっと広い観点でいうと、日常生活の様々な局面で社会が良くなる方向にスポーツが機能していくことができれば、自然とより良い社会が実現するのではないかという想いがあります。私たちスポーツを止めるなの活動もそういった大きな目標に向けて発展させていきたいと考えています。

スポーツが持つ「人を動かす力」は、競技や勝敗を超えて人の心や地域をつなぎ、困難の中にある人々に希望とエネルギーを届けます。また、スポーツが誰かを支え、その姿が次の支援を生む、その循環が、より良い社会につながるとスポーツを止めるなは信じています。
災害復興にスポーツの力を活かす−日本初のモデルとなる「災害支援スポーツネットワーク」の取り組みはまだ始まったばかりです。

「災害支援スポーツネットワーク」活動にて地域住民の方々と(石川県七尾市一本杉通り商店街)

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災害復興にスポーツの力を−災害支援スポーツネットワークが目指す新しい価値 (前編)

IOCサミットにて、スポーツを止める共同代表理事 最上紘太(左)と糸見涼介さん 

一般社団法人スポーツを止めるなが2024年の能登半島地震を契機として立ち上げた「災害支援スポーツネットワーク」。日本、そして世界でも増え続ける災害に対してスポーツは、アスリートは何ができるのか。
「災害支援スポーツネットワーク」では、災害復興への想いを持つアスリートやスポーツ団体と支援を必要とする地域をつなぐ活動を展開しています。被災地の課題に対してスポーツ界のアセットを活かし、一過性ではない中長期的な支援を実現、活動で得た知見は次の災害への「学び」として社会に還元していきます。
今回は「災害支援スポーツネットワーク」の能登支援活動に参加いただいた元バヌアツ陸上競技代表監督でありIOCヤングリーダーの糸見涼介さんに、災害や社会課題に対しアスリートが出来ることやその価値について、ご自身のこれまでのキャリアにも触れていただきながらお話を伺いました。(本記事は前編です)

災害支援スポーツネットワークが提供する価値

最上 紘太(スポーツを止めるな共同代表理事:以下、最上):
スポーツを止めるなは能登半島地震をきっかけに「災害支援スポーツネットワーク」を立ち上げました。この活動は、自然災害が多い日本において、スポーツやアスリートの力を災害支援に役立てるような中長期的な支援や体制の形を考えていきたいという想いから始まったプロジェクトです。
糸見さんには9月下旬に行われた能登支援活動に参加いただきましたが、まずは今回参加されてみてどう感じられたか伺えますでしょうか?

糸見 涼介さん(以下、糸見):
率直に参加できてとても良かったと思います。今回の活動では、一本杉通り商店会での地域の方々とのディスカッションと腰細漁港でのビーチクリーン、そして穴水中学校へ訪問し地元の中学生と交流しました。
地域の方々とのディスカッションの様子
ビーチクリーンの様子
参加してよかった点はいくつかあって、まず一つ大きかったのは、この目で能登を見てその場所を感じることで、地元の方々の大変さを身に沁みて実感することができたという点にあります。よく言われることですが、災害の状況についてニュースなどで聞いているだけでは分からないことだらけで、解像度が上がらない。そうした実感がベースとなるからこそ、地に足のついた形で次に中長期的に被災地に対して何ができるのかを考え行動していくことができると思うので、とてもよかったと感じています。
あとは、アスリートの能登に関するSNS投稿などの発信が増えているというのがあって、活動に参加したことで彼ら自身が震災復興支援の当事者になったということも大きいと考えています。今回参加したアスリートたちは、中学生や地域の方々と交流する中で自分たちの競技のことも知ってもらいつつ、能登の現状について理解を深めることができた。この場所に対して自分ができることは何か、これから考えるための土壌ができたのではないかと思います。

最上:
ありがとうございます。今いただいたのはアスリートサイドのご意見かと思いますが、実際に被災地の目線から見ると「災害支援スポーツネットワーク」はどのような価値を提供できていると思われますか?

糸見:
私もバヌアツにいた頃に被災をした経験があるのですが、被災後やその渦中にいる時はどうしても明るいニュースや気分になることが少なくなります。それと同時に自分の感情を外に出すこと、大声を出したり笑顔で楽しんだりする機会も自然と減少します。今回穴水中学校に訪問させていただいて、少しの時間でもその場にいた皆さんに、心持ち的に前向きになれるような楽しい時間を提供できたのではないかと考えています。あとは清掃活動などを地域の方とご一緒する中で、「まだ能登は忘れられていないんだ」ということを直接的にも間接的にも伝えられたのではないかなと思います。
災害後の課題の一つとして風化があります。被災された地域の方々が風化を感じる瞬間は、やはり自分たちに対するケアや発信が少なくなっているということを感じるところから始まるのかなと。これからも能登のことを考えて行動していきます、ということを今回の活動で伝えられたと感じています。
穴水中学校での活動の様子
最上:
被災された皆さんの気持ちに寄り添いつつ、実のある活動を進めていくということですね。今回スポーツを止めるなの「災害支援スポーツネットワーク」の活動に糸見さんが参加してくださったきっかけを伺えますか?

糸見:
参加した理由は大きく2つあります。一つは、陸上競技の代表監督を務めていたバヌアツで、昨年末大きな地震があり、私自身が被災しました。その時に嬉しかったのが、日本やオーストラリア、ニュージーランドやフランスといった各国が支援の発信をしてくれたこと、さまざまな形で災害派遣チームをバヌアツへ派遣いただいたことでした。正直にいうと、そういった派遣チームのおかげで被災生活が劇的に変わったかというとそうではないのですが、その時に感じたのは、これだけ多くの方々や国がバヌアツを気にかけているということ、それを認識することで被災者として心持ちが大きく変わったということでした。被災生活を暮らすにあたって、心持ちというのは非常に大切で、先に挙げた活動のおかげで大きな希望を持つことができました。その経験から、今度は自分にも何かできるのではないかという想いがありました。
もう一つの理由は、自分がこれまで取り組んできたスポーツの力を活用して、被災地のために何かできたらと考えていたことにあります。アスリートとして、スポーツに携わってきたものとして何ができるのか。実際に能登へ行ってみて、もっと地域の方々の本当の力になれるようになりたいと強く思うようになりました。

バヌアツでの活動とIOCヤングリーダー

最上:
この辺りで糸見さんのこれまでのキャリアと、日本人として初となるIOCヤングリーダーに選出された際のお話も伺っていければと思います。まずこれまでの活動と今後についてお話いただけますでしょうか?

糸見:
私は幼少期から野球、駅伝とスポーツに取り組んできました。元々海外で仕事をしたいという想いがあったため大学卒業後にJICA海外協力隊としてバヌアツに派遣されました。驚いたことに、そこで陸上競技の代表チームのコーチを任されました。当初はいきなりの抜擢にも現地や選手の環境にも驚くことの連続でしたが、指導方法を工夫することで次第にチームは国際大会でも結果を残せるようになっていきました。
東京オリンピック・パラリンピックに向けて練習を重ねていましたが、新型コロナウイルスの影響により2020年3月に帰国、残念ながら大会にも人数制限の影響でコーチとして参加することができませんでした。不完全燃焼さもあり、オンラインで選手の指導を続けるとともにイギリスの大学院で開発学を学びバヌアツのためにできることはないかを模索していました。2023年4月に再びJICA海外協力隊としてバヌアツに派遣されることになりましたが、コロナ禍の影響で当時はバヌアツ国内の多くのスポーツ活動が停止しているような状態でした。以前から思い描いていたプロジェクトを今度こそはやり遂げたいと思っていた時にIOCヤングリーダーの募集を知り、応募をしたという経緯です。
バヌアツでの活動の様子
IOCヤングリーダーというのは国際オリンピック委員会(IOC)が主催するスポーツソーシャルビジネスの立ち上げを目指す起業家を支援するプログラムです。(注2)今までIOCはトップ選手の育成や強化、オリンピックの運営がメインの活動でしたが、スポーツを通じて社会にポジティブな影響を与える、変革を起こすようなスポーツを支える側の若者たちも支援していこうという文脈から生み出されたプロジェクトとなります。IOCヤングリーダーには4年の任期があり、その4年間でIOCからシーズファンディングという資金の提供やその肩書きを使って自らのビジネスを進めていきます。
私の場合は、活火山でのトレイルラン大会であるヤス―ルボルケーノラン(注3)をどうにかして国際大会化させたいと思っていました。絶対に成功させたいという時に、自分一人の力ではなし得ないという認識があったので、様々なサポートを受ける必要があるのではないかと考えました。SNSでIOCヤングリーダーのことを知って、たまたま1ヶ月後に選考が始まるという時期だった。プログラムを見てみると、自分のやりたいことを後押ししてくれる内容だったので応募した、というのが直接の経緯です。

最上:
これまで任期としては2年半、活動されてきて、得られたものや今後やりたいことなど教えていただけますか?

糸見:
まずは世界が広がりました。1期ごとに世界から25名のヤングリーダーが選ばれるのですが、私の同期たちが世界中で各々のプロジェクトを動かしているので、単純にそこから刺激を受けています。25人はそれぞれの国で、自分の専門のスポーツで、全く異なるアプローチでそれぞれの社会課題解決に向けて取り組んでいます。志以外は異なっていても同期たちは「同志」のような感覚でいて、時差やスポーツ関係なく共に助け合って自分たちのプロジェクトを進行しています。このような志を持つ日本人の同世代にはなかなか出会えていなかったので、僕の仲間はここにいたんだという感じです。
あとはIOCヤングリーダーの枠組みを使うおかげで、実際に自分のプロジェクトがぐっと前に進みました。プロジェクトを進めないと見えない景色があって、IOCヤングリーダーであったからこそ進行できたこともあるので、そういった意味で本当に世界が広がりましたし、自信にもつながっていきました。

最上:
現在IOCヤングリーダーとして取り組んでいる活動について教えていただけますか?

糸見:
一つは先程もお話したバヌアツの活火山でトレイルランニングをするヤスールボルケーノランのプロジェクトです。二つ目は日本の活動で、私の地元(三重県桑名市)で部活動の地域展開のプロジェクトを進めています。バヌアツではスポーツの国際大会を通じて、現地コミュニティの観光促進、観光業の復興、青少年の健全な育成という点を中心に取り組んでいました。
日本では、中学校における部活動の改革を通して、地域の活性化につなげるとともに、中学生の活躍の機会を創出しています。僕自身、大学まで部活動を続けて世界が広がっていった人間なのですが、ずっと疑問も抱えていました。学校によって選べる部活動に大きな差があること。スポーツを“支える側”の子が活躍できる場がほとんどないこと。そして何より、部活動の文化自体が閉鎖的になりやすいことです。そこでまず第一歩として取り組んでいるのが、『メディア部』のような新しい部活動づくりです。カメラ・編集・広報などの役割で活躍できる場を作り出しつつ、情報発信を通して地域の人たちに部活動を“見える化”できればと思っています。いろんな目が入ることで自然と開かれた環境になり、ハラスメントの予防にもつながると考えています。実現したいことはまだまだありますが、今はできるところから積み重ねている段階です。
バヌアツ陸上競技連盟会長と
部活動プロジェクト 地域住民説明会の様子
能登支援、バヌアツやIOCヤングリーダーとしての活動など多岐にわたるお話を展開してくださった糸見涼介さん。後編では糸見さんがスポーツ×社会課題に取り組むきっかけとなった思いを取り上げるとともに、スポーツを止めるな「災害支援スポーツネットワーク」が目指す価値について話を進めていきます。後編もお楽しみに!

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【1252プロジェクト】桐蔭横浜大学スポーツ科学部と包括的連携協定を締結 基調講演「“生理とスポーツ”―女性アスリートを支える指導者のあり方―」を実施しました! 

2025年11月17日(月)、一般社団法人スポーツを止めるなは桐蔭横浜大学スポーツ科学部と包括的連携協定を締結しました。本協定は、相互の強みを活かして連携協力することにより、事業、教育、学術研究、地域社会貢献などの多様な取り組みを通じて社会の課題解決や新たな価値の創造に貢献することを目指すものです。

協定締結当日には、調印式のほかに桐蔭横浜大学スポーツ科学部の学生を対象に、スポーツを止めるな代表理事・伊藤華英による基調講演「“生理とスポーツ”―女性アスリートを支える指導者のあり方―」を実施しました!

本記事では基調講演(授業)の様子をレポートしたいと思います。

【調印式の様子 】
【スポーツを止めるな 伊藤華英代表理事】
アスリートの実体験を知った上で、女性アスリートにとっての生理の課題と現状について共有し、スポーツ界の男女比率に触れた上で生理というテーマは女性だけの問題ではなく、男性にも関係があることであり、指導者がそれを認識することの重要性を伝えました。
講演では座学だけではなく、学生参加型のクイズやワークショップも行われました。クイズコーナーでは、生理にまつわる知識や誤解をもとに作成されたクイズが用意され、参加した大学生たちは周囲と一緒に和気あいあいと参加しました。また、一つひとつのクイズに対して、その回答を提示するだけではなく、伊藤自身のアスリートとしての体験や周辺知識を丁寧に伝えていきました。
ワークショップでは「これからのスポーツ指導者は、女子学生アスリートの生理の課題とどう向き合っていくべきだと思いますか」をテーマに、グループごとにディスカッションし検討結果について発表しました。どのグループも真摯に生理という課題に向き合い、将来指導者になった時にどうしたらよいか、当事者意識を持って検討を重ねていました。

質疑応答では、「PMSは軽くなりますか?」「生理痛のある選手とのコミュニケーションで留意するべきことは?」など様々な質問がなされました。伊藤は選手への声かけの際の留意点や何か問題があった時は実際に婦人科へ行くことの重要性を伝えるとともに、一人で悩まない環境を作ることの大切さを強調しました。

今後、同学部ではこの講演を皮切りに、学生の教育プログラムとして1252プロジェクトの内容を段階的に導入していく予定です。
桐蔭横浜大学スポーツ科学部との包括的連携協定により、スポーツを止めるなは、未来の指導者がアスリートを理解し支えることのできる環境整備を進めるとともに、教育現場でのアプローチを拡大しスポーツを通した社会課題解決のモデルケースを構築していきます。

<桐蔭横浜大学スポーツ科学部との包括的連携協定事項>
(1)スポーツの普及振興に対する理解促進に関すること
(2)教育及び人材育成に関すること
(3)専門的人材育成の交流及び学術研究に関すること
(4)地域社会への貢献活動に関すること

【1252プロジェクト】

▼公式HP
https://spo-tome.com/1252-top/

▼YouTube|トップアスリートの生理にまつわる体験談「Talk up 1252」
https://youtube.com/playlist?list=PLa7LJJewGWJP3Gc0azsTXYSaCOgcfyBBW&si=qgZM-rMKdXgWnAhl

▼インスタグラム|1252 Playbook
https://www.instagram.com/1252project/
「スポーツ×生理の新しい教科書」をコンセプトとした教育コンテンツ、「1252 Playbook(プレイブック)」を配信しています。ぜひご覧ください。
1252project公式アカウント@1252project

▼検定|1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定
女子アスリートを指導する上で必要な知識を問う検定です。
トップアスリートを指導する指導者から学校教員、保護者、アスリート本人まで、女子スポーツ関係者に広く知識を身につけてもらうことを目的に、2階級の資格検定を設けています。
女性特有の月経課題を中心に、女子アスリート×生理に関する正しい知識の習得を目指します。
【第5回 1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定】
開催日時:2026年3月1日(日)~2026年3月14日(土)
申込期間:2026年1月7日(水)12時~2026年2月21日(土)16時
 ※コンビニ決済の申込期間は、2月14日(土)16時までとなります。
資格:2級(指導者・女子アスリート・保護者向け)/1級(指導者向け)
内容:テキストブック「1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定」より出題。

▽検定詳細はこちら
https://1252expert.com/

▼テキストブック|『1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定』
女子アスリートを指導する上で必要な知識を問う、1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定(1・2級)の出題範囲を網羅したテキストブックです。

販売場所:
▽1252エキスパート検定WEBサイト
https://1252expert.com/

※ この事業はKARADAKARAの助成事業です。

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KMD Forum 2025に出展しました! 

こんにちは!スポーツを止めるな広報です。

2025年11月2日(日)・3日(月)に開催された、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)主催の『KMD Forum 2025』に、コラボレーションパートナー団体としてブースを出展しました。

当日は、当社団が取り組む「1252プロジェクト」と「災害支援スポーツネットワーク」の2つの活動をご紹介しました。

【スポーツを止めるなブース】

1252プロジェクト紹介ブース

1252プロジェクトでは、当社団が行った「運動部所属女子生徒の実態調査」から見えた、生理とスポーツに関する課題をパネルで展示しました。

また来場者参加型の企画として、生理とスポーツの課題に対して、「あなたなら、どんな第一歩を踏み出しますか?」をテーマに、自由に付箋で意見を書いていただくコーナーも設置しました。

主催のKMDには海外からの留学生も多く、ブースでは日英の2言語でパネルを用意。

実際に付箋にも英語でコメントを書いてくださる来場者の方もおり、さまざまな視点が寄せられました。
【付箋パネル】
▶︎いただいた意見(一部)

・「人によって生理の重さが違うので、自分以外の人の重さを知る、伝える。」
・「物理的に対策できるものではないので、知見を広めることから始める。」
・「息子にもきちんと伝えていく!」
・「男女関係なく、相手の身体面を知りリスペクトを持って接していく。」
・「思春期前に関連知識をみんなが知る環境になると、もっと話しやすくなりそう。」
・「生理に関する恥ずかしさを減らしたい。男性にも生理についてもっと知ってもらえるようにしたい。」
・「There are many differences between women’s and men’s bodies, so it’s important to understand ourselves and also understand and respect others.」

など学生の方から社会人、主婦の方まで、性別や年代を問わず多くの方が立ち寄り、真剣に意見を書いてくださいました。

災害支援スポーツネットワークの紹介

ここではアスリートとともに行っている被災地支援・地域交流の復興支援活動を紹介。
スライドショーを通じて、実際の現場で選手が地域の方と交流している様子や、
ビーチクリーン・炊き出しサポートなどの活動をご覧いただきました。

11月3日には賛同アスリート&理事が来場!

11月3日(月)には、共同代表理事の廣瀬俊朗、賛同アスリート 室伏由佳さんがブースを訪問。
さらに、共同代表理事の最上紘太も来場し、1252プロジェクトの付箋企画に参加しました。
海外からの来場者も多かったこともあり、3名それぞれが“この取り組みが世界に広がっていくきっかけに”という思いを込めてメッセージを残してくれました。
【付箋企画に参加する廣瀬・最上・室伏さん】
▶︎3名の付箋コメント

・「周りの人に話をする!!Small step!!」(廣瀬)
・「We are one!1252一緒に取り組もう!」(室伏)
・「1252が世界に広がるきっかけに。そのためにちゃんと学ぶ!」(最上)

参加者インタビューも実施!

ブースでは、参加者の方々にインタビューも行いました。
今回のインタビューには、日本人教授や学生のほか、海外出身の教授や海外留学生にご協力いただき、「生理とスポーツ」について国際的な視点からの意見も伺うことができました。

インタビューでは、
・生理について理解する、オープンに話せる環境づくりの必要性
・生理について、国や地域によってどれだけオープンに話せるのかという文化的な違い
・どうすれば生理とスポーツに関する課題解決につながるか
といった意見をお伺いしました。

こちらのインタビュー動画やコメントは、後日、SNSでも一部ご紹介する予定です。
また多様な背景の参加者からいただいた声は、今後の活動にも活かしていきます。

今回のKMD Forum 2025では、スポーツを通じて社会課題に向き合う私たちの活動に、多くの方が関心を寄せてくださいました。
今後も、スポーツを通じて社会をよりよくする取り組みを進めていきます。
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科
https://www.kmd.keio.ac.jp/ja/

スポーツを止めるな公式X
https://x.com/spotome2020

▼1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定公式サイト
https://1252expert.com/  

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「スポーツを通じた社会課題解決」をテーマに慶應義塾普通部の学生に向けた出張授業を実施  

2025年11月7日(金)、日本オリンピックミュージアムにて、慶應義塾普通部の卒業生が現役生に学びを届ける「目路はるか教室」の一環として、「スポーツで社会をよくするってどういうこと?」をテーマにした出張授業を実施しました。今回は、本校卒業生でありスポーツを止めるな共同代表理事の最上が講師を務めました。

授業に先駆け、オリンピックミュージアムを見学

日本オリンピックミュージアムは、歴史的資料や貴重な展示を通じて、オリンピックの歴史や文化、スポーツの価値観の変遷を学べる施設です。
生徒たちは真剣な表情で館内を巡り、過去の聖火トーチなど、希少なアイテムにも目を輝かせている様子が印象的でした。
オリンピックの歴史に興味津々!
去の聖火トーチなど、貴重な品々の展示も。

授業・グループワークで探る「スポーツによる社会課題解決」

授業では、スポーツが社会にできることとは何かを考えてもらいました。
授業では、コロナ禍で試合や練習ができない環境下での選手自身によるキャリア支援活動や、生理×スポーツの教育・情報発信を行う「1252プロジェクト」を紹介しました。スポーツを止めるなのこれまでの活動実例を通じて、スポーツが社会課題にどのようにアプローチできるのかという構造を伝えました。
続くグループワークでは、生徒たちが「災害復興という社会課題に対してスポーツができること」について議論し、アイデアを発表。
「スポーツで子どもから高齢者までが交流できる場をつくる」、「復興地域で大会を開催し、人を呼び込む」といった実践的なアイデアが生まれました。 実際に、スポーツを止めるなが行っている復興への想いを持つアスリートやチームと被災地をつなぐ「災害支援スポーツネットワーク」の実例との比較などを通じて理解を深めてもらいました。
アイデアを付箋に書いてもらいました!
授業後、講師を務めた最上は「スポーツには社会をより良くするための可能性があります。こうして皆さんと一緒に考える機会を持てたことをとても嬉しく思います。スポーツの力で社会課題を解決する取り組みは、ひとりひとりの小さなアクションから広がっていきます。今日の学びが、スポーツを通じてつながり、支え合い、新しい価値を生み出す仲間が増えていくきっかけになればと願っています」と話しました。
日本オリンピックミュージアムの前でみんなでパシャリ

「1252プロジェクト」とは

1年(52週)のうち、約12週は訪れる生理とそれに伴う体調の変化は、女子アスリートにとって避けては通れない問題です。「正しい情報がない」「相談する先がない」と感じる女子アスリートや、その指導者のみなさまに対し、必要な情報を楽しく学ぶためのオンライン発信や授業などの様々なプログラムを提供しています。

関心のある方はぜひお気軽に1252@spo-tome.comまでお問い合わせください。
活動の詳細は1252プロジェクト公式HP(https://spo-tome.com/1252-top/

■第5回1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定 開催
女子アスリートを指導する上で必要な知識を問う検定。
トップアスリートを指導する指導者から学校教員、保護者、アスリート本人まで、女子スポーツ関係者に広く知識を身につけてもらうことを目的に、2階級の資格検定を設けています。
女性特有の月経課題を中心に、女子アスリート×生理に関する正しい知識の習得を目指します。
第5回の開催も予定しております。

<概要>
申込期間:2026年1月7日 12時~2026年2月21日 16時(コンビニ決済の申込は、2月14日 16時まで)
実施期間:2026年3月1日〜2026年3月14日
詳細は1252エキスパート検定WEBサイト(https://1252expert.com/)

「災害支援スポーツネットワーク」とは

「被災地支援アクション」と「現地発信」で支援を展開し、「ワンスクール・ワンアスリート」という考え方を通じて地域とアスリートがつながる循環を生み出します。

●スポーツによる支援活動の2つの柱
1.被災地支援アクション
・有志アスリートによる現地支援活動
・スポーツ大会を誘致
・高齢者のフレイル対策支援活動

2.被災地の現地発信
・定期的なメディア情報発信
・スポーツ界内における支援モデルの共有

●ワンスクール・ワンアスリートを軸とした活動
地域の子どもたちとアスリートの「顔の見える関係づくり」を通じた中長期にわたる支援を目指し、「ワンスクール・ワンアスリート」という考え方を軸とした活動の実施を目指します。

【「ワンスクール・ワンアスリート」での活動による効果】
・アスリートと被災地の方々が、繰り返しコミュニケーションを取るきっかけをつくる。
・アスリートにとって、被災地を“もうひとつのホームタウン”として感じる機会に。
・被災地の方にとって、アスリートを自分ゴトとして観戦・応援できる存在になる。


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【1252プロジェクト】2025年日本国際博覧会 サステナドームで、「生理とスポーツ」の授業を実施しました! 

午前の授業後に記念撮影 

午後の授業後に記念撮影 

2025年7月4日(金) 2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)のサステナドームにて、SDGsをテーマに、次世代へその内容を最大限伝えるためのESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)として、「生理とスポーツ」をテーマとした授業を実施しました!
今回の授業は、学校法人OCCとのコラボレーションにより行ったものです。
会場となったサステナドーム
参加者は同志社大学や追手門学院大学の大学生たち。男子学生が多く参加してくれました。午前と午後の2回、講義を実施。月経とパフォーマンスに関する基礎知識を学び、月経とスポーツにまつわるリアルな課題、そしてそれにどう向き合うべきかについて、グループワークなどを行いました。

「誰にでも関係がある話」として、性別を問わず届いたメッセージ

授業の冒頭で、スポーツを止めるな代表理事で競泳元日本代表の伊藤華英は自身の現役時代を振り返りながら、「生理の問題は、女性アスリートだけの問題ではない」と語りました。
「生理を理由に力を出し切れないことを“言い出せない空気”が課題の一つだと思います。指導者や周囲の理解があれば防げることがたくさんあるはずです」と続け、男性を含めた周囲の人々の理解と関わりの重要性を強調しました。さらに自身の競技生活のなかでも「我慢が美徳とされ、体調が悪くても口に出せなかった」と経験談を交えた話を、学生たちは真剣な面持ちで耳を傾けていました。
伊藤華英の現役時代の体験談に耳を傾ける学生たち

PMS・無月経・エネルギー不足など、女子アスリート指導に関する基礎知識を学ぶ

授業の前半では、運動部所属の女子学生の実態調査から月経に関する課題感を把握してもらったうえで、PMS(生理前症候群)やエネルギー不足に陥らないための栄養計算、無月経のリスクなど、生理に関するさまざまな話題を取り上げました。
伊藤からは「婦人科は“病気の人が行く場所”ではなく、“相談する場所”でもある」とし、婦人科の利用に対する意識を変えていく必要性を改めて強調しました。

「話しやすい空気づくり」と「見える化」が、未来の指導者に求められる視点

授業の後半では、参加学生が数グループに分かれ、「これからのスポーツ指導者は、女子学生アスリートの生理の課題とどう向き合っていくべきか」をテーマに、ディスカッションをしてもらい、全体に向けて発表を行ってもらいました。
あるグループは「生理の状況をプリントで提出するルールを入部時に設ける」、別のグループは「日々の体調を可視化できるアプリを導入する」などのアイデアを発表。また「週に一度、女性の専門家が来校して話せる機会を作る」、「女性スタッフや相談窓口を設ける」といった環境づくりに関する意見も上がりました。
男子学生も積極的に意見を交わしていたことが印象的でした。
発表後、伊藤氏は「大切なのは、“話していいんだ”という雰囲気づくり。そのためには知識だけでなく、対話の経験が必要です。今日のような場をきっかけにしてほしい」と学生たちに語りかけました。
男子学生からも「自分たち男性が当たり前に知識を持ち、話題にできることが大切だと感じた」といった前向きな発言があり、伊藤は「とても心強い」と応じていました。

最後に:知識は誰かを支える力に。

授業後、適切かつ効率的な運動を学習するため、オーバーヘッドスクワットと片脚スクワットを実践。ここまで話を聞いて、話し合ってと、座ってばかりいたためか、実際に運動をすることになり、空気が少し和らぎます。
和やかにスタートを切るも、この運動が意外にきつい。皆さん苦労しながら運動をこなします。
オーバーヘッドスクワットの様子
運動後、授業の締めくくりに伊藤は、「この講義の内容は、必ず皆さんの現場で役に立つと思います。今日だけでは語りきれないことがたくさんあります。もっと知りたい人は、ぜひ自分から学びにきてください。知識は誰かを支える力になります」と呼びかけました。
そして、すべての参加者に「話せないことで、苦しみが大きくなることもあります。皆さんには、知識を“寄り添うための道具”として持っていてほしい。今日がその第一歩になればうれしいです」と力強く語りかけました。

参加学生からは、
・生理のことを話しやすい雰囲気作りを心がけたいと感じました。
・生理で休んでいるようなら勝てないと思いながら競技をしていたので新しい考え方を学べました。
・他人事だとは思わずに、1人のアスリートとして女性の生理について理解を深めなくてはならないと思いました。
といった声が聞かれました。

誰かの痛みや悩みに寄り添える知識と姿勢をさらに周囲にも広げていってだいただけると嬉しく思います。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
※1252プロジェクトでは、指導者向けに検定やテキストブックをご提供しています。

▼検定|1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定
女子アスリートを指導する上で必要な知識を問う検定です。
女性特有の月経課題を中心に、女子アスリート×生理に関する正しい知識の習得を目指します。
トップアスリートを指導する指導者から学校教員、保護者、アスリート本人まで、女子スポーツ関係者に広く知識を身につけてもらうことを目的に、2階級の資格検定を設けています。

【第4回 1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定】
開催日時:2025年9月1日(月)~2025年9月14日(日)
申込期間:2025年7月1日(火)~2025年8月21日(木)16時
※コンビニ決済の申込期間は、8月14日(木)16時までとなります。
資格:2級(指導者・女子アスリート・保護者向け)/1級(指導者向け)
内容:テキストブック「1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定」より出題。

検定詳細は1252エキスパート検定WEBサイトをご確認ください。
https://1252expert.com/

▼テキストブック|『1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定』
女子アスリートを指導する上で必要な知識を問う、1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定(1・2級)の出題範囲を網羅したテキストブックです。
販売場所:
▽1252エキスパート検定WEBサイト
https://1252expert.com/products/detail/53
1252プロジェクトでは、今後も女子学生アスリートがスポーツをもっと安心して楽しめる環境づくりを目指していきます。
関心のある方はぜひお気軽に1252@spo-tome.comまでお問い合わせください。
【1252プロジェクト】
▼公式HP
https://spo-tome.com/1252-top/

▼紹介映像
https://www.youtube.com/watch?v=8D0WARPVGZw

▼YouTube|トップアスリートの生理にまつわる体験談「Talk up 1252」
https://youtube.com/playlist?list=PLa7LJJewGWJP3Gc0azsTXYSaCOgcfyBBW&si=qgZM-rMKdXgWnAhl

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「スポーツ×生理の新しい教科書」をコンセプトとした教育コンテンツ、「1252 Playbook(プレイブック)」を配信しています。ぜひご覧ください。

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【1252プロジェクト】日本ダンススポーツ連盟 ブレイキン指導者講習会にて、指導者向け「生理×スポーツ」の研修会を実施しました! 

写真提供:公益社団法人 日本ダンススポーツ連盟 

こんにちは!スポーツを止めるな広報です。
2025年7月3日(日)、公益財団法人 日本ダンススポーツ連盟ブレイキン指導者講習会の受講者に向けて、スポーツを止めるな共同代表理事 最上紘太が「生理×スポーツ」をテーマにした研修会(オンライン)を実施しました。

昨年に引き続き、日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス部の次世代育成・普及に向け開催している指導者資格研修会の1セッションとして、登壇のご依頼をいただきました。

研修会のテーマは、「女性アスリートを指導する上での基礎知識」。日ごろ指導している中での課題共有を行うワークショップ、生理の基礎知識をクイズ形式で出題するなど参加型の形式を取りながら、最後は女性アスリートを指導する上で知っておきたいことを、医学・栄養・コミュニケーションの分野からお話しました。

写真提供:公益社団法人 日本ダンススポーツ連盟 

今回の研修会参加者8名の内7名が男性でした。

運動部に所属する女子学生の生理に関する悩みに対して、専門的な相談相手がいない実態をご紹介し、指導者が知識をつけることで、学生を助ける入口になることをお伝えしました。

またワークショップでは、「男性指導者として、生理に関する悩みに介入することが難しい」、「コミュニケーションをいきなり取ることが難しい」という課題共有がありました。これは、他の指導者研修においても多く聞く課題です。最上は、「指導者が生理に関して学んでいる、共感していることがわかるようにすることが大切」と改めて指導者が知識を付けることの大切さをお伝えしました。

研修会後アンケートでは、
・普段、知れない情報だったので大変勉強になりました。
・基本、最新のエビデンス、実践的な話など、学びになりました。
・勉強になりました。まずは教本を読んで知識をつけたいと思います。 ・とても良い取り組みだと感じました。短い時間でしたが、とても学びになりました。
とコメントいただきました。

日本ダンススポーツ連盟 ブレイキン指導者講習会に参加された指導者の皆さま、ありがとうございました。
今回の研修が生理とスポーツに関して改めて考えるきっかけとなり、学生アスリートの更なるパフォーマンス向上つながると嬉しいです。
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【第4回 1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定】
開催日時:2025年9月1日(月)~2025年9月14日(日)
申込期間:2025年7月1日(火)~2025年8月21日(木)16時
※コンビニ決済の申込期間は、8月14日(木)16時までとなります。
資格:2級(指導者・女子アスリート・保護者向け)/1級(指導者向け)
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【1252プロジェクト】埼玉県保健体育研究会東部支部高体連女子部にて、賛同アスリートの室伏由佳さんによる、体育指導者向け「生理×スポーツ」の研修会を実施しました! 

こんにちは!スポーツを止めるな広報です。
2025年7月3日(木)、埼玉県保健体育研究会東部支部高体連女子部の体育指導者の先生方へ向けて、スポーツを止めるな・1252プロジェクト賛同アスリートの室伏由佳さん(順天堂大学スポーツ健康科学部 先任准教授)が「生理×スポーツ」をテーマにした研修会(オンライン)を実施しました。

研修会は、「女性アスリートを指導する上での基礎知識」をテーマにし、室伏さんの実際に経験した生理とスポーツの問題や疾患の経験、また研究分野によるデータからのお話。さらに1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定のテキストブックから研修スライドを構成し、エビデンスに基づくお話をしました。
また女性アスリートが求めるサポートの現状や改善策、月経関連の問題に対する予防策、さらに女性アスリートの三主徴の診断に用いられるスクリーニング等についてもご紹介しました。

研修会の最後には質疑応答の時間を設け、「月経が始まったばかりの選手の体の動きが悪くなり、パフォーマンスの低下などがみられる。貧血でしょうか?」という問いには、「まず、貧血を疑い、病院で検査をすることも大切。原因がわかれば、対応方法もわかり、改善すれば競技が楽しくなる。また、婦人科外来といえば内診があるのでは?と躊躇してしまうかもしれない。医師の判断にはなりますが、症状によっては腹部の上からエコーで診て頂くこともある。」と、婦人科に行くハードルをさげる例を踏まえてアドバイスしました。
また、「同僚の男性指導者が女子生徒に生理のことを聞くことが難しいと相談される。」という問いには、「例えば、今回の研修会でご紹介した1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定書から学び、検定を取得していただくことで、専門的に理解しているというスタンスを示すことができると思います。また、女性アスリートの生理とその対処の事例や症例を学ぶなど、知識を付け、プロフェッショナルな立場で生徒と接することとで、安心や信頼を得られ、コミュニケーションを取りやすくなるかもしれません。」と、指導者側も最新の知識を身につけることの大切さとメリットを伝えました。
研修会後アンケート

埼玉県保健体育研究会東部支部高体連女子部 渡邊梓先生に、「生理×スポーツ」の研修会を受講しようと考えた背景、また実施して感じたことや、今後の活かし方などをお伺いしました。

なぜこの研修会を受講しようと考えましたか?
「生理」については、保健の授業で取り上げているが、今一度教える側が勉強し直すには良い機会になるのではないかと考え受講することを決めました。

実施して感じた手応え
「1252プロジェクト」という取り組みを知ってもらうきっかけになったし、元アスリートの方の講演ということもあって、参加されたみなさんには興味を持って話を聞いて頂けたと思います。

生徒や現場にどう活かしたいか
まずは、授業を通じて、自分の部活動、保健体育の教員へ情報の共有をしていこうと考えています。

講師(室伏先生)の話で、特に印象に残った言葉やエピソードはありましたか?
室伏先生も疾患を患い、自身の体とも闘いながら競技に挑んでいたんだ、ということが印象に残っています。悩みや不安は図りしれなかったと感じました。

この研修会を通じて、先生ご自身の考え方や意識に変化はありましたか?
初経も低年齢化してきている気がします。長く向き合っていくものなので、病院(婦人科)等との連携も今後考えていく必要があるのでないかと考えるようになりました。

今回のような研修会を、今後どのように活かしていきたいとお考えですか?
全生徒向け、女子部生徒向けと、細かく分類して講演会も実施してみたいと考えています。 また若い先生や男性指導者にもこのテーマを伝えていきたいと思っています。

最後に、同じように悩んでいる指導者や関係者へメッセージがあればお願いします。
時代が変わっていくと共に、次代が「生理」について悩まず、周囲のフォローも整う環境の中で、自身の目標に向かって取り組めるように、今一度学び直しが必要だと思っています。ともに学んで、課題や解決策を考えていければ嬉しいです。
埼玉県保健体育研究会東部支部高体連女子部の先生方、渡邊先生ありがとうございました。
今回の研修会を、女性アスリートが活躍できる環境づくりに役立てていただけると嬉しいです。
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【1252プロジェクト】元競泳日本代表 竹村 幸さんが、ジュニア選手に向け「生理とスポーツ」をテーマに授業を実施しました!  

2025年6月21日(日)競泳元日本代表・竹村幸さんが「生理とスポーツ」をテーマに、ジュニア選手向け授業『1252 Clubroom Workshop!』を開催しました!
この授業は、東京都と東京都スポーツ協会が共催するトップアスリート発掘・育成事業第16期生の育成プログラムの一環として実施されたもの。ジュニア選手に加え、保護者の方々も聴講し、真剣な表情で耳を傾けていました。
授業では、竹村さんの現役時代の体験談を交えながら、生理に関する基礎知識やアスリートに必要な栄養などの話をクイズ形式で楽しく学ぶ内容となりました。

「夢を叶えるためには、まずは自分を知ること」

竹村さんは、自身のジュニア時代からシニア期にかけて直面してきた生理の課題を率直に語ってくださいました。とくに高校時代は、生理痛の影響で試合後に気を失ったことがあるほど。生理前には気持ちが不安定になり、「消えてしまいたい」と感じることもあったそうです。
そんな時、自分を責め続けていた竹村さんの気持ちを変えたのが、友人の助言で受診した精神科と婦人科でした。診断結果はPMS(生理前症候群)。「これは自分のせいじゃなかった。治る」と前向きな気持ちが芽生えたと言います。
それからは定期的に婦人科での診療を受け、症状に向き合いながら体調を整える工夫を続けたことで、トレーニングや試合にも前向きに取り組めるようになっていったそうです。

「生理だから休む」ではなく、「今できることを考える」

生理の症状は人それぞれ異なります。竹村さんは、「アスリートである以上、体調に応じてその日できることを探してトレーニングを続けてほしい」と伝えました。
もちろん、日常生活すら困難な症状がある場合は、無理せず休み、専門の医療機関を受診することも重要だと話します。
また、「ひとりで抱え込まないことも大切です。最初は話しにくいかもしれませんが、話せる環境を自分でつくることも、夢に向かう準備のひとつです」と、ジュニア選手たちにエールを送りました。

授業後の感想コメント(一部)

「人によって痛みや期間が異なるためお互いを理解し合ってフォローすることが大切だと思いました。これからも色んなことが起こると思いますが、今日学んだことを活かしていきたいです」
「自分の競技は男性が多いためそのような言いにくいところはありますが、自分のためにもコーチなどに周りに言ってメニューを考慮してもらうなど対策をとっていこうと思います」

選手の皆さん、ありがとうございました!
皆さんの活躍する姿が見れることを楽しみにしています!!
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開催日時:2025年9月1日(月)~2025年9月14日(日)
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【1252プロジェクト】元競泳日本代表 竹村 幸さんが、ジュニア選手に向け「生理とスポーツ」をテーマに授業を実施しました!   続きを読む »

【1252プロジェクト】元競泳日本代表 竹村 幸さんによる生理×スポーツの授業「1252 Clubroom Workshop! in金沢星稜大学」を実施しました! 

2025年6月17日(火)、元競泳日本代表の竹村幸さんを講師に迎え、「生理とスポーツ」をテーマにした授業(オンライン)を実施しました。
金沢星稜大学人間科学部スポーツ学科は指導者を目指している学生もおり、今年で3回目の授業です。女子アスリート、そして彼女たちを支える指導者たちが、月経とどう向き合っていくべきか。竹村さんが伝えたこと、参加学生の声をお届けします。

まずは自分のからだを知ること

授業では、トップアスリートとして選手時代を送った竹村さんが、ご自身の競技生活の中で月経に悩まされた経験を包み隠さず話してくれました。
「ジュニア時代は生理痛もなく、あまり月経を意識することはありませんでした。でも高校に入ると徐々に症状が重くなり、試合後に意識を失ったこともあります」
さらに、生理前には強い気分の落ち込みにも悩まされていたものの、「生理が来れば落ち着くから」と病院に行くこともなく、ずっと我慢していたと言います。転機となったのは友人の勧め。精神科を受診し、そこから婦人科を紹介され、PMS(月経前症候群)の診断を受けました。診断がついたことで、自分の身体を客観的に理解できるように。そこから治療を始め、症状も改善するようになると、コンディショニングも捗るようになったとのことです。

ひとりひとり症状が違う

授業ではクイズを交えながら、生理とスポーツに関する基礎知識を学びました。竹村さんが一貫して伝えていたメッセージは、自分の身体を知ること、ひとりで抱え込まないことです。
「月経の症状は人によって違います。我慢するのが当たり前だと思わないでほしい。日常生活や競技に支障が出ているなら、迷わず婦人科に相談してほしいです。指導者やチームメイトに言いづらい、恥ずかしい、弱みを見せたくない。そう感じる選手が多いのも現実です。でも、話せないことで対処が遅れて、もっと苦しむことになることもあります。症状が改善すればもっと実力が出せるかもしれない。指導者の方には、そういう選手がいることを理解し、寄り添っていってほしいです。」 

授業後の感想コメント

指導者を目指す学生ならではの前向きなコメントをいただきました。
「現役時代はピルのことを知らなかったため、我慢しながら競技に取り組んでいました。同じような悩みを抱えている選手に少しでも楽に過ごせるよう、今回の講義で学んだことを伝えていきたいです」
「指導者を目指しているので必ず直面するであろう問題だったので、今回、話を聞けてよかったです」
「女性がスポーツを楽しんで行うためにも、男性側も話しやすい雰囲気を作ることから始めることが大事だと思いました」

授業後の奥田先生とのミニトーク:選手を支える“雰囲気づくり”とは

奥田鉄人教授(金沢星稜大学人間科学部スポーツ学科スポーツ医科学論)

竹村)よく男性指導者から「生理については話しづらい」と聞くことがあります。一方で女子選手側からも、最近は生理の話ができるようになってきたこともあり、「結構ストレートに聞いてくる男性コーチもいて…」と相談されることもあります。指導者は寄り添ったり、言いやすい雰囲気作りが大事ですよね。

奥田先生)選手のタイプにもよりますよね。そういった対話が苦手な選手もいます。ひとりひとり見ながら接していくのが大切ですが、それが非常に難しい。

竹村)アプリを活用しながら、対面で話さなくても情報が共有できるツールを使った方が、そういう子たちには安心なのかもしれないですね。

奥田先生)はい、そうですね。女子コーチやスタッフがいるとコミュニケーションがうまくとれますが、男性コーチだけだと大変かと思います。頑張ってもらいたいです。

竹村)そうですね。生理のことだけではなく、なんでも話せる関係性を築いていってほしいです。

奥田先生)以前アンケートを取った時におもしろいなと思ったのは、生理の時は水泳キャップの色を変える。コーチがその色を見てその日の練習メニューを変える。この方法なら、直接話さなくてもコーチに伝えられるから良いアイデアだなと思いました。

竹村)それは良いアイデアですね。選手も気持ちが楽かもしれないですね。私の水泳の先輩は「今日はプリンセスの日。だからみんな、大切にして(笑)」みたいな感じでオープンに話していました(笑)。そんな感じで自分やチームそれぞれのやり方で話しやすい雰囲気を作っていけると良いですね。

金沢星稜大学人間科学部スポーツ学科の皆さん、奥田先生、ありがとうございました!今回の授業をきっかけに生理とスポーツについて、理解を深めていっていただけると嬉しいです。

卒業後も選手に寄り添う指導者として活躍されることを期待しています!!

※金沢星稜大学人間科学部は、人間の心・体・頭の総合的な発達と能力の開発について科学的に研究し、人間社会を育てていく人材を養成する学部です。
金沢星稜大学人間科学部HP
https://www.seiryo-u.ac.jp/u/
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【1252プロジェクト】元競泳日本代表 竹村 幸さんによる生理×スポーツの授業「1252 Clubroom Workshop! in金沢星稜大学」を実施しました!  続きを読む »