コラム

【能登支援・災害支援スポーツネットワーク】珠洲の子どもたちにスポーツの楽しさを伝えたい!オリンピックの強化選手が体験会を開催 

 能登地域にも春の気配が感じられる、この頃。復旧作業が進む道路の傍らには、あちこちでフキノトウが若い緑の顔を見せ始めていました。
 そんな珠洲市で3月15日、小学生を中心とする子どもたちを対象に、オリンピック強化指定選手ら11人たちによる「スポーツ体験会」が、同市上戸町の市民交流拠点・「すずっこひろば」で開催されました。 

現役アスリート指導のもと様々なスポーツに挑戦!

 主催は、「スポーツを止めるな」と公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)で、石川県とJOCとの包括連携協定に基づき、珠洲市・羽咋市にて支援プログラムを実施しました。昨年から、JOCオリンピック強化指定選手らが参加する「スポーツ体験会」の取り組みを開始し、輪島市門前町や穴水町にも訪問。地元の学生や住民と対話を重ね、今回は3回目の活動となります。 

  活動について、スポーツを止めるなの共同代表理事・最上紘太は、「能登地震の発災によって、学校のグラウンドに仮設住宅が建設されるなどして、子どもたちの遊び場が失われ、体を動かす機会がなくなりました。そんな現状に対し、スポーツで社会にアプローチしたいと考えました。選手たちにとっても、競技へのファンづくりや学びにつながる。スポーツの力が、さまざまな人を成長させると信じています」と力を込めます。

 このたびの支援プログラムは、地元の珠洲市で活動する特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン(※注1参照)が運営する市民交流施設「すずっこひろば」の提供、一般社団法人NOTOTO.(※注2参照)による開催プログラムの企画や、アスリートたちの滞在先など、能登現地との各種調整の支援を得て、ともに実現しました。 

入念に打ち合わせをする主催者たち。右からスポーツを止めるなの最上共同代表、JOCの谷本理事、渡邊氏、NOTOTO.の松中共同代表

 何とこの会場で、2年前に訪問した宝立の避難所で出会った親子と、メンバーが偶然にも再会しました。 

「大きくなったね!また会えて嬉しいよ」と記念にパチリ
オリンピック強化指定選手が集結!すずっこたちが、いろんな競技を体験

 イベントには、JOCのオリンピック強化指定選手ら11人が参加。番所駿斗【体操(トランポリン)】、芹野泰良マックスナー【アイスホッケー】、幸田朋優【フェンシング】、山田航大【山岳・スポーツクライミング】、矢澤亜季【カヌー】、川野隼【スケルトン】、河合利亜斗【テコンドー】、岩井麟【アメリカンフットボール(アメフト)】吉田向希・田井慶音・赤城明花【クリケット】(敬称略)と、そうそうたるメンバーたちが集結。子どもたちにスポーツの楽しさを伝えたい!との熱い思いを胸に、自ら志願して珠洲市にやって来てくれました。
 
JOCの渡邊マーロックさん、谷本歩実さん【元柔道日本代表】や、水鳥寿思さん【元体操日本代表】も、選手たちの活動を支援します。 

競技について説明するアスリートたち

 それぞれの競技の説明や実演をした後、子どもたちが体験することに。3チームに分かれておよそ30分間、競技にチャレンジしました。

 はじめに、アメフトとテコンドーを体験。岩井選手が先導し、準備運動を行いました。子どもたちは手をグルグル回したり、ボールを投げたりして体をほぐしていきます。アメフトのキャッチボールを始めると、すかさず選手たちが「ナイス!」「いいね!」と声を掛け、子どもたちの緊張がゆっくりとほどけ始めます。 

準備運動は入念に!

 選手たちから道具の使い方を教えてもらったり、声をかけられたりすると、みるみるうちに笑顔に。子どもたちが素直に興味を示して、果敢に挑戦する姿が頼もしく感じられました。
 
フェンシングの幸田選手は、剣の持ち方や構えといった基本動作や、前進・後進の仕方、突きなどの攻撃方法を紹介。子どもたちは、真剣な表情で、習ったことを実践します。
 
そして、実戦を行うことに。子どもたちの本気モードにスイッチが入り、素早く対戦相手に突き込んでいきます。周囲で観戦する大人たちも、固唾を飲んで見守ります。技が決まった時には、大きな歓声が上がりました。

いざ、試合へ!

 子どもたちに指導を終えた幸田選手は「教えるのは初めてでしたが、うまくできてよかった」と安堵した様子。「みんなが笑顔で参加してくれて、元気をもらいました」と嬉しそう。 

指導を終え、安堵した表情を浮かべる幸田選手

金沢市出身で、体操(トランポリン)の番所選手は、「子どもたちに元気を届けたかった。自分も元気を分けてもらったので、明日からの練習をがんばれます」と感動した様子で話し「いい結果で、地元に返していきたい」と決意を伝えてくれました。これも”スポーツの力”ですね。 

「練習がんばります!」と番所選手もガッツポーズ

 クリケットの体験では、田井選手が子どもたちに、ラケットの握り方などをていねいに手ほどきします。 

基礎から丁寧に指導します。
こんな小さな子も、楽しんでくれました!

 JOCの水鳥寿思理事は「社会貢献活動をしたいが、どのようにしていいかという声がアスリートから挙がり、能登復興支援に取り組もう、との思いが始まりでした」と、活動のきっかけを語ります。そうして、どうしたら子どもたちが楽しめるか、選手たちがアイデアを出し合って、体験教室を行ってきました。さらには「単発的なものではなく、継続して支援していくことが大切」と考え、今後も活動していくと話しました。 

「活動を通じファンが増えて、ロスオリンピックで応援してもらえれば嬉しい」と水鳥さん

 教室が終わった後、すっかり打ち解けた様子の子どもたちと選手が、膝を突き合わせ、いろんな話をしました。 
 「誕生日はいつ?」「どんなスポーツが好き?」など、他愛もない話がつきません。 
 選手や子どもたちの表情はとても優しくて楽しそう。穏やかな日常のひとときが流れていました。 

終了後も話は尽きません。
選手からサインももらったよ。
イベント終了後の反省会を終えて。

みなさん、ありがとうございました!

※注1 特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン(広島県、大西健丞代表)は、能登地震や奥能登豪雨による公共施設の被害や、仮設住宅の増加により、子どもたちの遊び場や交流の場が失われたことを受け、親子が安心して暮らせる環境づくりを目指し、2025年4月から市と連携し、交流拠点の「すずっこひろば」を運営しています。

※注2 一般社団法人NOTOTO.(石川県、安江 雪菜 共同代表・松中 権 共同代表)は、能登半島地震を機に2024年4月に設立された中間支援組織です。能登の人・文化・多様性を大切にしながら、地域の復興を中長期的に支援することを目的に、まちづくりや交流機会の創出など幅広い活動を展開しています。 

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【能登支援・災害支援スポーツネットワーク】能登の子どもたちに笑顔と希望を――パリオリンピック金メダリスト 角田夏実さんが柔道教室を実施

3月14日、石川県羽咋市の武道館で、小中学生を対象とした柔道教室が行われました。講師を務めたのは、リオリンピック柔道女子48kg級金メダリストの角田夏実さん。輪島市や能登町、七尾市などから集まった約80名の子どもたちが参加し、会場は終始、笑顔と活気にあふれていました。

はじまりの挨拶
この取り組みは、「スポーツを止めるな」と公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)による支援プログラムの一環として実施されました。能登地域では継続的に活動が行われており、今回が3回目の訪問となります。   
 
当日は、基礎練習から実際の技のポイントまで、角田さんが一人ひとりに声をかけながら丁寧に指導。時折、子どもたちと笑い合いながら技を見せる場面もあり、トップアスリートとの距離の近さに、自然と場の空気もやわらいでいきました。普段は少し緊張しがちな子どもたちも、この日はリラックスした様子で畳の上に立ち、のびのびと体を動かしている姿がとても印象的でした。 
真剣に練習に打ち込みます。
さらに心に残ったのは、子どもたちとの対話の時間です。「どうすれば強くなれますか?」「試合で緊張しない方法は?」といった素朴な質問に対して、角田さんは一つひとつ丁寧に耳を傾け、自身の経験を交えながらやさしく答えていきました。その言葉に、真剣にうなずく子どもたちの姿はとても印象的でした。

教室の終盤には、実際に獲得した金メダルも披露されました。子どもたちは目を輝かせながら手に取り、間近で見つめるその表情からは、憧れや驚きがそのまま伝わってくるようでした。世界の頂点に立った証に触れる体験は、子どもたちにとって大きな刺激であり、未来への希望を感じるひとときとなりました。

また、アテネ・北京オリンピック金メダリストであり、JOC理事の谷本歩実さんも参加されました。子どもたちに優しく声をかけながら見守る姿が、会場のあたたかい雰囲気をさらに引き立てていました。


この柔道教室は、技術を学ぶ場であると同時に、「人と向き合う楽しさ」や「体を動かす喜び」を改めて感じる時間でもありました。被災地で日常を取り戻しつつある子どもたちにとって、仲間と組み合い、笑い合うひとときは、かけがえのない時間となったことと思います。

世界の舞台で活躍する選手と同じ畳の上で過ごした時間。子どもたちの中には、新たな目標や夢が芽生えた子もいたかもしれません。能登の地に広がった笑顔とつながり、そして小さな希望の種は、これからもゆっくりと未来へと育っていくことでしょう。
みんなで記念撮影

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「国際女性デー記念 1252ダイアログ」第2部ワークショップ事後レポート

一般社団法人スポーツを止めるなは、2026年3月8日(日)の国際女性デーにあわせ、「国際女性デー記念 1252ダイアログ」を、BankPark YOKOHAMA(神奈川県横浜市)にて開催しました。
本イベントは、女性アスリートが競技を継続し、より活躍していく上で直面する課題を可視化するとともに、選手、学生、競技団体、行政など多様な立場の関係者が一堂に会し、「今、できること」を共有・議論する対話の場を創出することを目的として開催されました。イベントでは1部として配信形式のカンファレンス、2部を横浜市内中学生および高校生を対象とした「1252プロジェクト」ワークショップを実施しました。本記事では2部ワークショップの様子をレポートしていきます。
(1部カンファレンスのレポート記事はこちら)
1252プロジェクトワークショップの様子
ワークショップにはスポーツを止めるな代表理事であり1252プロジェクトリーダーの伊藤華英、2024年パリオリンピック柔道女子48kg級金メダリストの角田夏実さんが登壇し、横浜市内の中学生・高校生となごやかな雰囲気のもとに実施されました。 スポーツを止めるな、そして1252プロジェクトの活動紹介ののち、生理の課題に関するアスリートの体験談をシェアする時間が設けられました。角田さんのアスリートとしてのキャリアと現役時代の生理の悩みに生徒たちは真剣に耳を傾けていました。

その後「1252 Clubroom Workshop!」としてクイズ形式でスポーツと生理の基礎知識を学びつつ、「生理の課題どんなものがありますか?どうやって解決する?~未来に向けて自分ができること~」をテーマにグループワークを行いました。グループワークでは角田さんも積極的に生徒に働きかけ、活発な議論が行われました。
グループワーク中の一コマ
和気あいあいとしたグループワークの様子
グループワーク中の発表シーン
今回参加した生徒は、「ワークショップの内容は知らないことばかりで自分の今後にも大きく関わることなので参加できてよかった。(自分は)生理痛が重く症状がひどい時はベッドから起き上がれないなど困ったことも多かったが、産婦人科へ行くことでそれを防ぐことができると知って安心した」と話しました。また、1252プロジェクトワークショップについて「(生理の課題は)怪我や病気にもつながることなので周囲の友人にも伝えたい」とし、「男性顧問が多いため話しづらい状況があると思うが、自分も女性アスリートからそんな相談を受けられる人になりたい」と将来への展望を語ってくれました。
ワークショップ後に参加された生徒の皆さんと
男女の区別なく、生理という身体の課題に対してオープンに共有し、話し合い、発信していくことが、女性アスリートはもちろん全ての女性が自らの身体に向き合って自分らしく生きることにつながります。今後もスポーツを止めるなは、1252プロジェクトを通して生理の課題に向き合い続けます。
ワークショップ終了後の集合写真

ディスカッションでは、アスリートのお二人に競技生活における生理の悩みや課題をお聞きしました。角田さんは「現役時代は生理が来て苦しいのは当たり前、それを我慢するのが当たり前という感覚になっていたので、まずはそこを変えていく必要があると思う。また、そうした悩みを共有し発信できる環境を作っていくことが、課題に対してポジティブに向き合っていくことができるきっかけになるのでは」と語りました。

「国際女性デー記念 1252ダイアログ」第1部カンファレンスでは、スポーツを止めるな代表理事 伊藤華英による基調講演やトップアスリートによる生理課題に関するパネルディスカッションを実施。スポーツを止めるな公式YouTubeチャンネルで動画を公開中です。この機会にぜひご覧ください!

https://www.youtube.com/watch?v=QU9wHFEA1Hc

「国際女性デー記念 1252ダイアログ」開催概要

日時 :2026年3月8日(日)13:00〜16:00
会場 :BankPark YOKOHAMA
主催 :一般社団法人 スポーツを止めるな
共催 :公益財団法人 日本オリンピック委員会(JOC)、横浜市
後援 :
一般社団法人 女性アスリート健康支援委員会
公益財団法人 日本スポーツ協会(JSPO)
公益財団法人 日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPSA /JPC)
独立行政法人 日本スポーツ振興センター(JSC)
※五十音順
※本イベントは日本オリンピック委員会(JOC)と包括連携協定の一環として実施しました。

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「国際女性デー記念 1252ダイアログ」第1部カンファレンス事後レポート

一般社団法人スポーツを止めるなは、2026年3月8日(日)の国際女性デーにあわせ、「国際女性デー記念 1252ダイアログ」を、BankPark YOKOHAMA(神奈川県横浜市)にて開催しました。
本イベントは、女性アスリートが競技を継続し、より活躍していく上で直面する課題を可視化するとともに、選手、学生、競技団体、行政など多様な立場の関係者が一堂に会し、「今、できること」を共有・議論する対話の場を創出することを目的として開催されました。イベントでは1部として配信形式のカンファレンス、2部を横浜市のジュニアクラブを対象とした「1252プロジェクト」ワークショップを実施しました。本記事では1部のカンファレンスの様子をレポートしていきます。
スポーツを止めるな代表理事 伊藤華英
イベントに先立つ形で、横浜市長の山中竹春様、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)常務理事 小谷実可子様からご挨拶をいただきました。また、ビデオメッセージとしてスポーツ庁長官 河合純一様、日本スポーツ協会会長 遠藤利明様、公益財団法人日本オリンピック委員会会長 橋本聖子様からそれぞれコメントをいただきました。
横浜市長 山中竹春様
JOC常務理事 小谷実可子様
「1252プロジェクトを軸とした女性アスリート支援」をテーマに、スポーツを止めるな代表理事である伊藤華英が講演しました。講演では、スポーツを止めるなの成り立ちや活動の軸である1252プロジェクトや災害支援スポーツネットワークの概要、そしてそこに込められた思いを紹介。さらに伊藤がプロジェクトリーダーとして取り組む1252プロジェクトの具体的な取り組み内容について説明しました。
伊藤華英による講演の様子
また、パネルディスカッションとして、2024年パリオリンピック柔道女子48kg級金メダリスト 角田夏実さん、日本パラリンピック委員会アスリート委員会委員長 網本麻里さん、JOCアントラージュ専門部会部会員、日本パラリンピック委員会(JPC)女性スポーツ委員会委員長能瀬さやか先生、スポーツを止めるな共同代表理事 廣瀬俊朗が登壇しました。
パネルディスカッションの様子
ディスカッションでは、アスリートのお二人に競技生活における生理の悩みや課題をお聞きしました。角田さんは「現役時代は生理が来て苦しいのは当たり前、それを我慢するのが当たり前という感覚になっていたので、まずはそこを変えていく必要があると思う。また、そうした悩みを共有し発信できる環境を作っていくことが、課題に対してポジティブに向き合っていくことができるきっかけになるのでは」と語りました。
2024年パリオリンピック柔道女子48kg級金メダリスト 角田夏実さん
先月アスリートたちの活躍によって大きな盛り上がりと共に閉幕したミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックにおいて、フィギュアスケート女子アメリカ代表のアンバー・グレン選手が出場中の生理について発言したことは大きなインパクトを持って迎えられました。角田さんは「グレン選手は次の世代が悩むことのないよう勇気を持って発信してくださったのだと思う。アスリートも最初からそういった影響を見越して取り組むことができれば結果は自ずと違ってくる」と語りました。網本さんは「今回のことで生理が話題になった。それによって理解しようとする人が増えるかもしれない、少なくとも生理でそれだけパフォーマンスが変わるということに気づかせる大きなきっかけになった。アスリートがメディアを通してそうした課題を伝えていくことが重要だと思う」と話しました。

今後に関する問いに対して、網本さんは「パラスポーツは様々な障がいによって元々服薬している人が多く、その場合ピルが飲めないなどの課題もある。アスリートは自分の身体と向き合った競技生活を発信していく必要があると思うし、パラスポーツを通したスポーツの力やその素晴らしさをしっかり伝えていきたい」と話しました。能瀬先生からは「パラアスリートは基礎疾患が様々で、より一層個別のケースとしての対応が求められる。JPCアスリート委員会では種目の枠を超えて同じ障がいを持つ選手たちが意見交換や啓発活動をしており、そういった取り組みが今後広まっていくことを期待したい」と話しました。
JPCアスリート委員会委員長 網本麻里さん

スポーツを止めるな共同代表理事の廣瀬は、「(スポーツ×生理の課題を)日本が先導できる立場にいるのではないか、1252プロジェクトが世界を変えるきっかけになるのではないかと期待を込めて捉えている。今後さらに活動を推進していきたい」と語りました。男女の区別なく、生理という身体の課題に対してオープンに共有し、話し合い、発信していくことが、女性アスリートはもちろん全ての女性が自らの身体に向き合って自分らしく生きることにつながります。今後もスポーツを止めるなは、1252プロジェクトを通して生理の課題に向き合い続けます。


第1部のカンファレンスはアーカイブとしてスポーツを止めるな公式YouTubeチャンネルで公開中です。この機会にぜひご覧ください!

https://www.youtube.com/watch?v=QU9wHFEA1Hc

パネルディスカッション登壇者の皆様と
「国際女性デー記念 1252ダイアログ」開催概要

日時 :2026年3月8日(日)13:00〜16:00
会場 :BankPark YOKOHAMA
主催 :一般社団法人 スポーツを止めるな
共催 :公益財団法人 日本オリンピック委員会(JOC)、横浜市
後援 :
一般社団法人 女性アスリート健康支援委員会
公益財団法人 日本スポーツ協会(JSPO)
公益財団法人 日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPSA /JPC)
独立行政法人 日本スポーツ振興センター(JSC)
※五十音順
※本イベントは日本オリンピック委員会(JOC)と包括連携協定の一環として実施しました。

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【1252プロジェクト】日本オリンピックミュージアムにて「スポーツを止めるな“1252プロジェクト研修会”」を実施しました!

2026 年1月31日(土)、日本オリンピックミュージアムにて、一般社団法人スポーツを止めるなによる「スポーツを止めるな“1252プロジェクト研修会”」が実施されました。

本イベントは、生理に関する正しい知識を特に男性指導者に伝え、選手のコンディショニングを正しく理解・支援できる環境づくりを目指すことを目的に行われ、当日は特定非営利活動法人スポーツコーチング・イニシアチブ(SCI)に登録されている皆様を中心に、スポーツ指導者、教育関係者、医療・コンディショニング関係者、学生アスリートなど多彩な立場の方々に参加いただきました。講師として1252プロジェクトリーダーの伊藤華英代表理事(博士 [スポーツ健康科学]・元競泳日本代表)、日本オリンピック委員会強化スタッフ(ナショナルチーム)フィジカル育成担当の泉建史氏が登壇しました。

(泉氏は1252プロジェクトが主催する女子アスリートを指導する上で必要な知識を問う検定「1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定」のテキストブック第6章「ストレングス&コンディショニングとケア」をワーキングメンバーと執筆)

まずは伊藤から1252プロジェクトの活動紹介をさせていただき、自身のアスリート現役時代のエピソードも交えながらトップアスリート含むアスリートが置かれている生理の課題について言及しました。 その後グループワークとして「女性アスリートとの接し方など抱えている課題について」グループディスカッション、参加者同士でシェアする時間がもたれました。会場からは「生理といってもその期間だけではなく前後でも体調が大きく変わるので、選手自身が“自分はこういう時こうなる”という状態をきちんと把握できるということが重要」「男性指導者だとどうしても自分ごととして感じにくい点もあり、体調や生理の影響があることに気づかずアスリートを責める形になってしまうこともある」など、現場ならではの不安や課題に関する発言がありました。そういった状況だからこそ、「生理や体調、コンディショニングの話をオープンにできる環境は本当に重要だと思う」という声も聞かれました。
研修会の様子
ワークショップ後は、現在泉氏が仕事をする上で大切にしている価値観(琴線)や国際ライセンスのNSCAガイドライン紹介もありました。泉氏はロス2028に向けたスポーツ現場では「フィジカルコーディネーター」の業務も兼務し、フィジカルコーチとしてのトレーニング指導だけではなく、トレーナー、コーチ、栄養士、科学者・医療従事者など様々な職種を連携させ、アスリートを全方位的にサポートする体制を整える役割を持ちます。測定、評価、育成、情報共有までを一貫し様々な分野をつなぐハブとなることで、 一人ひとりのアスリートに寄り添った『トータルコンディショニング』の実現を目指しています。 その後、女子アスリートのフィジカルトレーニング導入の流れや身体の動きチェックを紹介するとともに、今の状態を「言葉にしていく」ことの重要性を会場の参加者とのやりとりを交えながら説明しました。疲労、熟睡度、食欲、運動量、痛みなどを10段階で評価し言葉にして共有することで、本人自身も体調変化を理解することができ、対話を通じてセルフ理解を深めることにつながるなどのメリットがあることを伝えました。指導者視点では、「身体の状態を言語化できる文化をつくる」点が重要であり、その積み重ねがジュニア世代からのコンディショニングの構築につながっていきます。
研修会の様子
2回目のワークショップでは、「今日の話を受けてどう解決できるか?~未来に向けて自分 ができること~」をテーマに、参加者含めて話を深めていきました。会場からの「女性アスリートが主体的に生理の課題に向き合うために必要な指導者としてのスキルは?」という 質問に、伊藤、泉氏それぞれが回答しました。伊藤からは「選手の言うことを頭ごなしに拒否せずしっかり会話を受け止めること」と伝えました。その上で、「不調を見せることは“少し弱い自分”を見せることにつながるためアスリートにとっては難しい面があると思う。ライバルに聞かれたくないという思いや、チーム競技であれば“メンタルが弱いから大事な場面では起用しません”となりかねないという意識が働いてしまう。現在は選手にも指導者側にも情報が届きやすくなっているので気軽に話せる環境が整っている方も多いかもしれませんが、まずは指導者が正しい知識を持っていることが重要です。選手たちと信頼関係を築く中で少しの違和感に気づいたり、それを伝えられたりする関係性を作ることが大切だと思います」と伝えました。 泉氏からも「指導者が“その知識を持っている人なんだ”と分かるだけでも選手にとっては全く 違う環境になるので、まずはそこからのスタートだと思います」と話がありました。

今回のワークショップは参加者との対話や実際に身体を動かす場面もあり、終始なごやかに進められました。今後も1252プロジェクトは生理に関する正しい知識を社会に伝え、スポーツ界はもちろん教育、医療、栄養など様々な領域の方々と連携しながらスポーツ×生理の課題について広く発信していきます。
左:泉建史/右:伊藤華英
伊藤華英(いとう はなえ)
元競泳日本代表選手、一般社団法人スポーツを止めるな代表理事、1252プロジェクトリーダー、博士(健康科学)、マットピラティスコーチのライセンスを取得、競泳のオリンピアン(北京五輪、ロンドン五輪2大会出場)、2008年は背泳ぎ日本新記録を樹立。現役引退後はアスリートの視点からスポーツの地位向上・発展のために活動、2021年からは「1252プロジェクト」でスポーツに取り組む学生らに生理の正しい知識や理解を広げる活動に取り組んでいる。アスリートやスポーツに関する社会貢献活動のロールモデル「HEROs AWARD2023」アスリート部門を受賞。書籍 『これからの人生と生理を考える』 (山川出版社)。1252女性アスリートコンディショニングエキスパート検定』(東洋館出版社)監修、講演活動など多数。

https://spo-tome.com/about/members/
泉建史(いずみ たけし)
フィジカルトレーナー/フィジカルコーチ、日本オリンピック委員会(JOC)医科学強化スタッフ、ナショナルチーム・フィジカルコーディネーター、米国スポーツ医学会認定 運動生理学士(ACSM/EP-C)。NSCAジャパン最優秀指導者賞受賞。ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点エリア医・科学サポートプロジェクト委員、近年は東京2020、パリ2024、ロサンゼルス2028世代(採点系競技、審美系競技、体操ニッポンなど複数の五輪競技)を担当、プロスポーツではJRA日本中央競馬会・競馬学校・トレーニングセンター騎手実践課程フィジカル育成を担当。東大阪市ではスポーツ教育アドバイザーとして活動、国際的な組織のNSCAジャパンのエリアディレクターとして後進の教育にも力を注ぐ。『1252女性アスリートコンディショニングエキスパート検定』(東洋館出版社)運動処方パート執筆、SDGs活動など多数。

https://the-ans.jp/course/445893/3/
※本講習会は特定非営利活動法人 スポーツコーチング・イニシアチブ(SCI)様に受講者募集に関してご協力いただきました。 https://sports-coach.jp/

※この授業はKARADAKARAの助成事業です。

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バレエとスポーツ、その先にある社会との接続について 

一般社団法人スポーツを止めるなが展開する1252プロジェクトとPrix de Lausanne(ローザンヌ国際バレエコンクール)の連携についてはこちら
私はバレエの専門家ではありません。
これまでスポーツを通じて、社会とどのように向き合い、次世代につないでいくかという活動を続けてきた立場の人間です。
その私が、アドバイザーという立場でPrix de Lausanneの現場に立ち、強く考えさせられたことがあります。
それは、バレエとスポーツは表現の形こそ違えど、社会との接続の仕方という点で多くの共通点を持っているということです。
ローザンヌバレエは、単なるコンクールではありません。15歳から18歳という心身ともに最も繊細な時期の若者を預かり、長期的な視点で育てる教育機関です。現場に立ってまず印象に残ったのは、短期的な成果を求める空気がほとんど存在しないことでした。
「次世代のために」という言葉はスポーツの世界でも頻繁に使われますが、実際には目の前の結果が優先されてしまう場面も少なくありません。その点で、ローザンヌバレエの関係者が共有している時間軸は非常に明確でした。一世代で結果を出すことを目的とするのではなく、その先の世代までを見据えて判断が行われています。
ボードメンバーや関係者との意見交換を通じて感じたのは、守るべきものを明確に定義した上で、変えるべきものはためらわず変えていく姿勢でした。短期的な損得ではなく、長期的な責任を前提に意思決定がなされている点に、一貫性を感じました。
ローザンヌより
スポーツを通じた社会活動の現場で私自身が大切にしてきた考え方と、ここで見た構造は非常に近いものがあります。身体を預かること、若い世代の可能性を扱うこと、そしてその先に社会があるという視点です。バレエとスポーツは、本質的には同じ構造を持っているのではないかと感じました。

私はバレエを評価する立場に立っているわけではありません。ただ、スポーツの現場で見てきたものと重なる感覚が、ここにも確かに存在していました。その重なりの中にこそ、バレエとスポーツがそれぞれの分野を越えて社会と接続していく可能性があるのではないかと考えています。
ローザンヌより
一般社団法人スポーツを止めるな
共同代表 最上紘太
「1252プロジェクト」とは

1年(52週)のうち、約12週は訪れる生理とそれに伴う体調の変化は、女子アスリートにとって避けては通れない問題です。「正しい情報がない」「相談する先がない」と感じる女子アスリートや、その指導者のみなさまに対し、必要な情報を楽しく学ぶためのオンライン発信や授業などの様々なプログラムを提供しています。
関心のある方はぜひお気軽に1252@spo-tome.comまでお問い合わせください。
【1252プロジェクト】

▼公式HP
https://spo-tome.com/1252-top/

▼YouTube|トップアスリートの生理にまつわる体験談「Talk up 1252」
https://youtube.com/playlist?list=PLa7LJJewGWJP3Gc0azsTXYSaCOgcfyBBW&si=qgZM-rMKdXgWnAhl

▼インスタグラム|1252 Playbook
「スポーツ×生理の新しい教科書」をコンセプトとした教育コンテンツ、「1252 Playbook(プレイブック)」を配信しています。ぜひご覧ください。
1252project公式アカウント@1252project
https://www.instagram.com/1252project/

▼検定|1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定
女子アスリートを指導する上で必要な知識を問う検定。
トップアスリートを指導する指導者から学校教員、保護者、アスリート本人まで、女子スポーツ関係者に広く知識を身につけてもらうことを目的に、2階級の資格検定を設けています。
女性特有の月経課題を中心に、女子アスリート×生理に関する正しい知識の習得を目指します。

▽検定詳細はこちら
https://1252expert.com/

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【第5回 1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定】
日  程:2026年3月1日(日)~3月14日(土)
申込期間:2026年2月21日(土)まで
対  象:
1級:女子スポーツの指導者として専門性の高い知識を必要とする方 (女子スポーツの専属コーチ、指導者など)
※2級認定者のみ受検可
2級:女子スポーツの指導に関わる全ての方(女子運動部の教員、学校教員、保護者など)
内  容:
テキストブック「1252公認 女子アスリート コンディショニング エキスパート検定」より出題。
女子アスリートに関わる スポーツ環境の基礎データ /医学/運動生理学 /栄養学 /アンチ・ドーピング /ストレングス&コンディショニングとケア /コミュニケーション など

▼テキストブック|『1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定』
女子アスリートを指導する上で必要な知識を問う、1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定(1・2級)の出題範囲を網羅したテキストブックです。
販売場所:1252エキスパート検定WEBサイト
https://1252expert.com/products/detail/53

▼動画|『1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定 講義動画』
テキストブックについて監修・執筆を担当した専門家が解説を行う講義動画(全7本・そう再生時間約3時間30分)です。大学教授やスポーツ科学分野の専門家が、医学・運動生理学・栄養学・アンチ・ドーピングなど重要テーマをわかりやすく解説。
確認テスト付きで検定形式にも慣れることができます(※一部仕様は異なります)。
販売場所:1252エキスパート検定WEBサイト
https://1252expert.com/products/detail/70
関連リンク
・Prix de Lausanne(https://www.prixdelausanne.org/
・MotionLab(https://www.motion-lab.ch/
1252プロジェクト

バレエとスポーツ、その先にある社会との接続について  続きを読む »

ローザンヌ国際バレエコンクールでの取り組みについて 

今年もPrix de Lausanneに参加する機会を頂きましたので、ご報告いたします。

昨年の「ローザンヌ国際バレエコンクール2025」を訪問した際のレポートはこちら

一般社団法人スポーツを止めるなが展開する1252プロジェクトは、今回初めてPrix de Lausanne(ローザンヌ国際バレエコンクール)と連携し、公式の形での取り組みを実施しました。
本連携は、ローザンヌバレエ本体、ならびに大会の公式医療サポート機関であるMotionLabとの協力のもとで行われたものです。目的は啓発や主張ではなく、まず「現状を正しく知ること」にあります。その第一歩として、参加ダンサーを対象としたアンケート調査から取り組みを開始しました。
1252プロジェクトは、スポーツと生理というテーマを扱うにあたり、医療・科学の専門家と連携しながら活動を進めてきました。今回のアンケートも同様に、医療的な信頼性と中立性を担保するため、MotionLabと連携して設計・実施しています。
MotionLabは、スイス・ローザンヌを拠点に、トップアスリートやダンサーの健康管理を専門とする医療機関です。Prix de Lausanneの大会期間中は、ダンサーが常時相談できる医療窓口を設け、身体的・心理的な不安に対応しています。また、予防やコンディショニングに関する情報提供も行っており、教育機関としてのローザンヌバレエを支える重要な役割を担っています。
今回の取り組みでは、こうした情報提供の一環として1252プロジェクトを紹介し、事前セミナー等の文脈の中でアンケートへの協力を呼びかけました。ダンサー一人ひとりの状態を理解することを起点に、今後どのような支援や議論が可能かを探るための初期的なステップです。
ダンサーに向けた情報提供の一環として1252プロジェクトを紹介
ローザンヌバレエは、世界中から選抜された15歳から18歳の若いダンサー約80名が参加する、世界最高峰の教育機関の一つです。その特徴の一つが、才能だけでなく健康管理を重視している点にあります。応募段階から厳格な基準を設け、全参加者に対してメディカルチェックを行う体制は、国際的にも特徴的です。
1252プロジェクトが目指してきたのも、競技や表現の前提として「身体が守られている状態」を社会全体でどう支えるかという問いです。今回の連携は、その考え方がバレエという分野でも共有された結果だと受け止めています。今回の取り組みは出発点にすぎませんが、今後も対話と検討を重ねていきたいと考えています。
ローザンヌより
一般社団法人スポーツを止めるな
共同代表 最上紘太
「1252プロジェクト」とは

1年(52週)のうち、約12週は訪れる生理とそれに伴う体調の変化は、女子アスリートにとって避けては通れない問題です。「正しい情報がない」「相談する先がない」と感じる女子アスリートや、その指導者のみなさまに対し、必要な情報を楽しく学ぶためのオンライン発信や授業などの様々なプログラムを提供しています。
関心のある方はぜひお気軽に1252@spo-tome.comまでお問い合わせください。
【1252プロジェクト】

▼公式HP
https://spo-tome.com/1252-top/

▼YouTube|トップアスリートの生理にまつわる体験談「Talk up 1252」
https://youtube.com/playlist?list=PLa7LJJewGWJP3Gc0azsTXYSaCOgcfyBBW&si=qgZM-rMKdXgWnAhl

▼インスタグラム|1252 Playbook
「スポーツ×生理の新しい教科書」をコンセプトとした教育コンテンツ、「1252 Playbook(プレイブック)」を配信しています。ぜひご覧ください。
1252project公式アカウント@1252project
https://www.instagram.com/1252project/

▼検定|1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定
女子アスリートを指導する上で必要な知識を問う検定。
トップアスリートを指導する指導者から学校教員、保護者、アスリート本人まで、女子スポーツ関係者に広く知識を身につけてもらうことを目的に、2階級の資格検定を設けています。
女性特有の月経課題を中心に、女子アスリート×生理に関する正しい知識の習得を目指します。

▽検定詳細はこちら
https://1252expert.com/

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【第5回 1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定】
日  程:2026年3月1日(日)~3月14日(土)
申込期間:2026年2月21日(土)まで
対  象:
1級:女子スポーツの指導者として専門性の高い知識を必要とする方 (女子スポーツの専属コーチ、指導者など)
※2級認定者のみ受検可
2級:女子スポーツの指導に関わる全ての方(女子運動部の教員、学校教員、保護者など)
内  容:
テキストブック「1252公認 女子アスリート コンディショニング エキスパート検定」より出題。
女子アスリートに関わる スポーツ環境の基礎データ /医学/運動生理学 /栄養学 /アンチ・ドーピング /ストレングス&コンディショニングとケア /コミュニケーション など

▼テキストブック|『1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定』
女子アスリートを指導する上で必要な知識を問う、1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定(1・2級)の出題範囲を網羅したテキストブックです。
販売場所:1252エキスパート検定WEBサイト
https://1252expert.com/products/detail/53

▼動画|『1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定 講義動画』
テキストブックについて監修・執筆を担当した専門家が解説を行う講義動画(全7本・そう再生時間約3時間30分)です。大学教授やスポーツ科学分野の専門家が、医学・運動生理学・栄養学・アンチ・ドーピングなど重要テーマをわかりやすく解説。
確認テスト付きで検定形式にも慣れることができます(※一部仕様は異なります)。
販売場所:1252エキスパート検定WEBサイト
https://1252expert.com/products/detail/70

関連リンク

・Prix de Lausanne(https://www.prixdelausanne.org/

・MotionLab(https://www.motion-lab.ch/

1252プロジェクト

ローザンヌ国際バレエコンクールでの取り組みについて  続きを読む »

二松学舎大学で実施されたセミナーにスポーツを止めるな賛同アスリート室伏由佳氏、共同代表理事・廣瀬俊朗が登壇 

2025年11月3日(月・祝)、九段会館テラスで、二松学舎大学国際政治経済学部が主催する「二松学舎大学から始める健康増進活動-健康の重要さを考える。有識者による対話も添えて-」が開催されました。本イベントには、スポーツを止めるな賛同アスリートで順天堂大学スポーツ健康科学部先任准教授/マイウェルボディ協議会 副代表幹事の室伏由佳氏、スポーツを止めるな共同代表理事・廣瀬俊朗が登壇し、大学と連携した学びの場づくりに参加しました。

■ 学びの成果を社会へ ― 学生によるヘルスケア企画発表

当日は、医療ビッグデータの分析を通して、企業が抱える課題へのアプローチや魅力的な価値提案へとつなげる研究を行う小久保欣哉教授の開会の挨拶から始まりました。
小久保欣哉教授の開会挨拶
第一部では、二松学舎大学の学生3チームがヘルスケア課題に対する独自の企画を発表。
女性の健康課題に関する啓発プロジェクト、ドラッグラグ・ロス(海外で承認されている新薬が日本では承認されるまで長い時間を要している、そもそも日本では開発着手されていない)問題の解決を目指す学生コンペ、医療リテラシーを高める教育ボードゲームなど、若い世代ならではの視点を生かした提案が並び、来場者に向けて研究成果を披露しました。
学生発表の様子

■「わくわく、健やかに過ごすとは」

第二部では、「わくわく、健やかに過ごすとは」をテーマにパネルディスカッションを実施。
総合司会を務めた株式会社野村総合研究所 グループマネージャー 若林城将氏
登壇したのは、小久保欣哉教授、アサヒ飲料株式会社代表取締役社長の米女太一氏、室伏由佳氏、廣瀬俊朗の4名です。
企業経営・研究・トップアスリートという異なる立場から、
・健康を支える環境づくり
・生理課題や月経困難症が及ぼす社会影響
・“わくわく”に代表される主体性とウェルビーイング
・イノベーションを生む組織のあり方
など、多彩な観点で議論が行われました。
左から廣瀬俊朗、室伏由佳氏、米女太一氏、小久保欣哉教授
室伏氏は、アスリートに限らず一般の方にとっても、「メンタル」「フィジカル」「ソーシャル」の3つの要素が調和することが心身の健康に寄与し、“ウェルボデイ”の実現に不可欠であることを伝え、また、1252プロジェクトと女性アスリート支援に関する取り組みを紹介。廣瀬は、チームスポーツにおける多様な役割と強みの生かし合いを例に、“自身の力を発揮できる環境づくり”の大切さを語りました。

■ 大学・企業・スポーツが連携し、健康を考える契機に

本イベントは、二松学舎大学の後援のもと、一般社団法人スポーツを止めるな、株式会社ヘルスケアコンサルティングが協力し、アサヒ飲料株式会社、アステラス製薬株式会社、株式会社ケアネットの協賛により実施されました。
大学の研究や学生の学びと、企業・スポーツ界の知見が交わることで、「健康をどのように守り、社会に広げていくか」を多角的に考える貴重な機会となりました。
スポーツを止めるなでは、これからも大学や企業、自治体など多様なパートナーと連携し、スポーツを通じた社会課題解決に取り組んでまいります。

二松学舎大学で実施されたセミナーにスポーツを止めるな賛同アスリート室伏由佳氏、共同代表理事・廣瀬俊朗が登壇  続きを読む »

災害復興にスポーツの力を−災害支援スポーツネットワークが目指す新しい価値 (後編)

IOCサミットにて、スポーツを止める共同代表理事 最上紘太(左)と糸見涼介さん 

IOCサミットにて、スポーツを止める共同代表理事 最上紘太(左)と糸見涼介さん 

一般社団法人スポーツを止めるなが2024年の能登半島地震を契機として立ち上げた「災害支援スポーツネットワーク」。日本、そして世界でも増え続ける災害に対してスポーツは、アスリートは何ができるのか。
「災害支援スポーツネットワーク」では、災害復興への想いを持つアスリートやスポーツ団体と支援を必要とする地域をつなぐ活動を展開しています。被災地の課題に対してスポーツ界のアセットを活かし、一過性ではない中長期的な支援を実現、活動で得た知見は次の災害への「学び」として社会に還元していきます。
今回は「災害支援スポーツネットワーク」の能登支援活動に参加いただいた元バヌアツ陸上競技代表監督でありIOCヤングリーダーの糸見涼介さんに、災害や社会課題に対しアスリートが出来ることやその価値について、ご自身のこれまでのキャリアにも触れていただきながらお話を伺いました。(本記事は後編です。前編はこちら

スポーツ×社会課題に取り組む

最上:
IOCヤングリーダーとしての精力的な活動、素晴らしいと思います。
IOCヤングリーダー以前・以降でも糸見さんはスポーツと人権や社会課題といった観点から継続的な活動を続けていらっしゃいます。なぜそういった活動に取り組むようになったのか契機となったことはあったのでしょうか?

糸見:
やはり小・中・高・大とスポーツに取り組む中での違和感が実体験としてあります。最初は野球をやっていたのですが、20年前に始めた時はやはりコテコテの体育会系の雰囲気があり怒鳴られるのも日常茶飯事で、子どもながらになぜこんなに怒鳴るんだろうと思っていました。中学の時に駅伝を始めて、その時は非常に自由な環境で前向きに楽しく取り組むことができました。スポーツはもっと前向きで楽しくて、周囲にもよい影響を与えられるものなのではないかと考え、自分が尊重されている/されていないというだけの違いでここまで心持ちが変わることに気づいたんです。人権というか、ただスポーツに取り組むだけではなく「どうやって」スポーツに取り組めるかで得られるものも大きく変わることを発見しました。そういう考えがあり、バヌアツでは環境整備から取り組みました。それ以来、自分の考えてきたことを形にしてみようと行動し続けて、今に至ります。

最上:
アスリートが置かれている環境改善や人権、社会課題に継続的に取り組んでこられた活動は非常に価値があると思います。 私たちスポーツを止めるなは、「災害支援ネットワーク」や「1252プロジェクト」などの活動を継続的に続けていますし、これからはスポーツを通じた社会課題解決に携わる人材自体を増やしてけるような取り組みも進めたいと考えているのですが、糸見さんとして一緒に活動したいと思うようなことはありますか?

糸見:
まず一つは、1252プロジェクトと部活動の地域展開の活動で連携できたらいいなと考えています。部活動を地域のクラブに展開していくにあたって、やはり指導者に対する研修は市の責任として実施する必要があるという話になっています。その中でどういった研修を行えばいいかということを考えた時に、1252プロジェクトが大切にしている価値観である、指導者だけに教えるのではなく、選手や保護者、そのスポーツに携わる全ての人たちが一緒に考えていくことを重要視するという点に私自身共感しているので、自らの活動にも活かしていきたいと考えています。

災害支援スポーツネットワーク スポーツが災害復興を支える日本初のモデルに

最上:
現在世界的にも自然災害が増えている傾向にありますが、その中でも日本は災害に見舞われることが多い国だと思います。そうした環境の中で、発災した際にスポーツ界として連携して災害支援をしていく体制をどうにかして整えたいと私は考えていて、スポーツを止めるなとして活動を始めました。今回糸見さんに経験いただいたのは能登とJOCとの連携による活動ですが、今後能登ではない場所でスポーツのアセットを活用した災害支援を行うとした場合、どのようなことが届けられると思われますか?

糸見:
2025年11月末頃から国連開発計画(United Nations Development Programme : UNDP)のエチオピアで働いていて、内戦からの復興支援に携わっています。状況が許せばの話にはなりますが、アスリートの力を使った情報発信に取り組みたいと思っています。エチオピアには世界にも影響力のあるマラソンランナーをはじめとするアスリートがたくさんいるので、そういった方々の発信力を使ってエチオピアの現状を伝えていくことは、復興支援の観点からも一つの有効な手立てだと思います。
もう一つはバヌアツの話です。2025年10月には国際大会化されたヤスールボルケーノランには海外からも観光客が訪れました。元々はバヌアツの一つの島の経済振興、観光促進を目的とし実施した大会だったのですが、結果として災害復興の側面を持つことになりました。なぜかというと、2024年12月にバヌアツでマグニチュード7.4の地震が発生し、近隣諸国の観光客が同国へ観光を控えるような動きが出ました。観光業がGDPの30%を占める国であり、オーストラリアやニュージーランドといった国外に対して、「バヌアツは大丈夫なんだよ、観光もできるんだよ」というメッセージをこの大会を通じて発信していこうとなりました。その情報にどれだけの効果があったかは未知数ですが、スポーツイベントに向けて動いているという事実は人々を前向きにしたはずです。私はスポーツやアスリートの力を通じた発信の価値を信じているので、能登から離れた文脈でも活用していけるのではないかと思います。

最上:
なるほど、アスリートの発信力を使って災害復興に貢献するということですね。スポーツというものは、一過性の喜びや楽しみを与えるという価値もあると思いますが、公共制度に入っていくことでさらにその力が発揮される一面もあると私は考えています。例えば、糸見さんがおっしゃるようにアスリートの発信力を使うことで、その災害の状況や現在抱える課題などを知らせる力もあるし、被災地で大会を開催することになった場合は、アスリートだけではなく大会に関わる全ての人たちをその場所に連れていった上で当事者にさせるという側面もある。つまり、災害復興に関わる人口を増やすという力もあるし、被災されて運動不足などの課題に直接的にサポートを提供することもできる。様々な側面から中長期的に被災地を支援することができると考えています。

糸見:
スポーツは選手より大会やアスリートを支える人たちの方が私は多いと思っていて、そうした観点での活動も復興支援につながるものだと捉えています。能登でスポーツイベントや大会を開催するとなった場合、皆さん選手たちのプレーを見にいくことになるわけですが、観戦やその大会の運営を手伝うだけでも復興の当事者になるということだと思うんです。やはり当事者になるという経験が、今後その場所とのつながりを継続させていくための原動力になると思うので、「自分には特別なスキルがないから」と思うことなく被災地に関わっていけばよいと私は考えています。大会に足を運ぶだけでも復興支援の第一歩というイメージです。スポーツは被災地との関わりしろを増やすきっかけになれるのではないかと。

最上:
当事者になるという経験が復興支援の最初の一歩になるということですね。我々のような団体が直接的に被災地の状況を改善することは難しいのですが、スポーツと災害支援という観点で見ると、間接的に被災地の状況を社会に伝える、支援を必要とする場所へ訪問するといった支援の中での調整機能を果たすことはできると考えています。ここで大切なのは、一過性の支援で終わらせるのではなく、中長期的にそうした調整活動を機能させていくことです。また、一つの場所で得た知見は次の災害への「学び」として社会に還元していきたいと思います。世界的に見て、スポーツを体系的に災害支援に活用する事例はまだ多くはありません。だからこそ、私たちはこの日本初のモデルを世界に共有し、「スポーツが社会を支える」という新しい価値を広げていきます。
もっと広い観点でいうと、日常生活の様々な局面で社会が良くなる方向にスポーツが機能していくことができれば、自然とより良い社会が実現するのではないかという想いがあります。私たちスポーツを止めるなの活動もそういった大きな目標に向けて発展させていきたいと考えています。

スポーツが持つ「人を動かす力」は、競技や勝敗を超えて人の心や地域をつなぎ、困難の中にある人々に希望とエネルギーを届けます。また、スポーツが誰かを支え、その姿が次の支援を生む、その循環が、より良い社会につながるとスポーツを止めるなは信じています。
災害復興にスポーツの力を活かす−日本初のモデルとなる「災害支援スポーツネットワーク」の取り組みはまだ始まったばかりです。

「災害支援スポーツネットワーク」活動にて地域住民の方々と(石川県七尾市一本杉通り商店街)

災害復興にスポーツの力を−災害支援スポーツネットワークが目指す新しい価値 (後編) 続きを読む »

災害復興にスポーツの力を−災害支援スポーツネットワークが目指す新しい価値 (前編)

IOCサミットにて、スポーツを止める共同代表理事 最上紘太(左)と糸見涼介さん 

一般社団法人スポーツを止めるなが2024年の能登半島地震を契機として立ち上げた「災害支援スポーツネットワーク」。日本、そして世界でも増え続ける災害に対してスポーツは、アスリートは何ができるのか。
「災害支援スポーツネットワーク」では、災害復興への想いを持つアスリートやスポーツ団体と支援を必要とする地域をつなぐ活動を展開しています。被災地の課題に対してスポーツ界のアセットを活かし、一過性ではない中長期的な支援を実現、活動で得た知見は次の災害への「学び」として社会に還元していきます。
今回は「災害支援スポーツネットワーク」の能登支援活動に参加いただいた元バヌアツ陸上競技代表監督でありIOCヤングリーダーの糸見涼介さんに、災害や社会課題に対しアスリートが出来ることやその価値について、ご自身のこれまでのキャリアにも触れていただきながらお話を伺いました。(本記事は前編です)

災害支援スポーツネットワークが提供する価値

最上 紘太(スポーツを止めるな共同代表理事:以下、最上):
スポーツを止めるなは能登半島地震をきっかけに「災害支援スポーツネットワーク」を立ち上げました。この活動は、自然災害が多い日本において、スポーツやアスリートの力を災害支援に役立てるような中長期的な支援や体制の形を考えていきたいという想いから始まったプロジェクトです。
糸見さんには9月下旬に行われた能登支援活動に参加いただきましたが、まずは今回参加されてみてどう感じられたか伺えますでしょうか?

糸見 涼介さん(以下、糸見):
率直に参加できてとても良かったと思います。今回の活動では、一本杉通り商店会での地域の方々とのディスカッションと腰細漁港でのビーチクリーン、そして穴水中学校へ訪問し地元の中学生と交流しました。
地域の方々とのディスカッションの様子
ビーチクリーンの様子
参加してよかった点はいくつかあって、まず一つ大きかったのは、この目で能登を見てその場所を感じることで、地元の方々の大変さを身に沁みて実感することができたという点にあります。よく言われることですが、災害の状況についてニュースなどで聞いているだけでは分からないことだらけで、解像度が上がらない。そうした実感がベースとなるからこそ、地に足のついた形で次に中長期的に被災地に対して何ができるのかを考え行動していくことができると思うので、とてもよかったと感じています。
あとは、アスリートの能登に関するSNS投稿などの発信が増えているというのがあって、活動に参加したことで彼ら自身が震災復興支援の当事者になったということも大きいと考えています。今回参加したアスリートたちは、中学生や地域の方々と交流する中で自分たちの競技のことも知ってもらいつつ、能登の現状について理解を深めることができた。この場所に対して自分ができることは何か、これから考えるための土壌ができたのではないかと思います。

最上:
ありがとうございます。今いただいたのはアスリートサイドのご意見かと思いますが、実際に被災地の目線から見ると「災害支援スポーツネットワーク」はどのような価値を提供できていると思われますか?

糸見:
私もバヌアツにいた頃に被災をした経験があるのですが、被災後やその渦中にいる時はどうしても明るいニュースや気分になることが少なくなります。それと同時に自分の感情を外に出すこと、大声を出したり笑顔で楽しんだりする機会も自然と減少します。今回穴水中学校に訪問させていただいて、少しの時間でもその場にいた皆さんに、心持ち的に前向きになれるような楽しい時間を提供できたのではないかと考えています。あとは清掃活動などを地域の方とご一緒する中で、「まだ能登は忘れられていないんだ」ということを直接的にも間接的にも伝えられたのではないかなと思います。
災害後の課題の一つとして風化があります。被災された地域の方々が風化を感じる瞬間は、やはり自分たちに対するケアや発信が少なくなっているということを感じるところから始まるのかなと。これからも能登のことを考えて行動していきます、ということを今回の活動で伝えられたと感じています。
穴水中学校での活動の様子
最上:
被災された皆さんの気持ちに寄り添いつつ、実のある活動を進めていくということですね。今回スポーツを止めるなの「災害支援スポーツネットワーク」の活動に糸見さんが参加してくださったきっかけを伺えますか?

糸見:
参加した理由は大きく2つあります。一つは、陸上競技の代表監督を務めていたバヌアツで、昨年末大きな地震があり、私自身が被災しました。その時に嬉しかったのが、日本やオーストラリア、ニュージーランドやフランスといった各国が支援の発信をしてくれたこと、さまざまな形で災害派遣チームをバヌアツへ派遣いただいたことでした。正直にいうと、そういった派遣チームのおかげで被災生活が劇的に変わったかというとそうではないのですが、その時に感じたのは、これだけ多くの方々や国がバヌアツを気にかけているということ、それを認識することで被災者として心持ちが大きく変わったということでした。被災生活を暮らすにあたって、心持ちというのは非常に大切で、先に挙げた活動のおかげで大きな希望を持つことができました。その経験から、今度は自分にも何かできるのではないかという想いがありました。
もう一つの理由は、自分がこれまで取り組んできたスポーツの力を活用して、被災地のために何かできたらと考えていたことにあります。アスリートとして、スポーツに携わってきたものとして何ができるのか。実際に能登へ行ってみて、もっと地域の方々の本当の力になれるようになりたいと強く思うようになりました。

バヌアツでの活動とIOCヤングリーダー

最上:
この辺りで糸見さんのこれまでのキャリアと、日本人として初となるIOCヤングリーダーに選出された際のお話も伺っていければと思います。まずこれまでの活動と今後についてお話いただけますでしょうか?

糸見:
私は幼少期から野球、駅伝とスポーツに取り組んできました。元々海外で仕事をしたいという想いがあったため大学卒業後にJICA海外協力隊としてバヌアツに派遣されました。驚いたことに、そこで陸上競技の代表チームのコーチを任されました。当初はいきなりの抜擢にも現地や選手の環境にも驚くことの連続でしたが、指導方法を工夫することで次第にチームは国際大会でも結果を残せるようになっていきました。
東京オリンピック・パラリンピックに向けて練習を重ねていましたが、新型コロナウイルスの影響により2020年3月に帰国、残念ながら大会にも人数制限の影響でコーチとして参加することができませんでした。不完全燃焼さもあり、オンラインで選手の指導を続けるとともにイギリスの大学院で開発学を学びバヌアツのためにできることはないかを模索していました。2023年4月に再びJICA海外協力隊としてバヌアツに派遣されることになりましたが、コロナ禍の影響で当時はバヌアツ国内の多くのスポーツ活動が停止しているような状態でした。以前から思い描いていたプロジェクトを今度こそはやり遂げたいと思っていた時にIOCヤングリーダーの募集を知り、応募をしたという経緯です。
バヌアツでの活動の様子
IOCヤングリーダーというのは国際オリンピック委員会(IOC)が主催するスポーツソーシャルビジネスの立ち上げを目指す起業家を支援するプログラムです。(注2)今までIOCはトップ選手の育成や強化、オリンピックの運営がメインの活動でしたが、スポーツを通じて社会にポジティブな影響を与える、変革を起こすようなスポーツを支える側の若者たちも支援していこうという文脈から生み出されたプロジェクトとなります。IOCヤングリーダーには4年の任期があり、その4年間でIOCからシーズファンディングという資金の提供やその肩書きを使って自らのビジネスを進めていきます。
私の場合は、活火山でのトレイルラン大会であるヤス―ルボルケーノラン(注3)をどうにかして国際大会化させたいと思っていました。絶対に成功させたいという時に、自分一人の力ではなし得ないという認識があったので、様々なサポートを受ける必要があるのではないかと考えました。SNSでIOCヤングリーダーのことを知って、たまたま1ヶ月後に選考が始まるという時期だった。プログラムを見てみると、自分のやりたいことを後押ししてくれる内容だったので応募した、というのが直接の経緯です。

最上:
これまで任期としては2年半、活動されてきて、得られたものや今後やりたいことなど教えていただけますか?

糸見:
まずは世界が広がりました。1期ごとに世界から25名のヤングリーダーが選ばれるのですが、私の同期たちが世界中で各々のプロジェクトを動かしているので、単純にそこから刺激を受けています。25人はそれぞれの国で、自分の専門のスポーツで、全く異なるアプローチでそれぞれの社会課題解決に向けて取り組んでいます。志以外は異なっていても同期たちは「同志」のような感覚でいて、時差やスポーツ関係なく共に助け合って自分たちのプロジェクトを進行しています。このような志を持つ日本人の同世代にはなかなか出会えていなかったので、僕の仲間はここにいたんだという感じです。
あとはIOCヤングリーダーの枠組みを使うおかげで、実際に自分のプロジェクトがぐっと前に進みました。プロジェクトを進めないと見えない景色があって、IOCヤングリーダーであったからこそ進行できたこともあるので、そういった意味で本当に世界が広がりましたし、自信にもつながっていきました。

最上:
現在IOCヤングリーダーとして取り組んでいる活動について教えていただけますか?

糸見:
一つは先程もお話したバヌアツの活火山でトレイルランニングをするヤスールボルケーノランのプロジェクトです。二つ目は日本の活動で、私の地元(三重県桑名市)で部活動の地域展開のプロジェクトを進めています。バヌアツではスポーツの国際大会を通じて、現地コミュニティの観光促進、観光業の復興、青少年の健全な育成という点を中心に取り組んでいました。
日本では、中学校における部活動の改革を通して、地域の活性化につなげるとともに、中学生の活躍の機会を創出しています。僕自身、大学まで部活動を続けて世界が広がっていった人間なのですが、ずっと疑問も抱えていました。学校によって選べる部活動に大きな差があること。スポーツを“支える側”の子が活躍できる場がほとんどないこと。そして何より、部活動の文化自体が閉鎖的になりやすいことです。そこでまず第一歩として取り組んでいるのが、『メディア部』のような新しい部活動づくりです。カメラ・編集・広報などの役割で活躍できる場を作り出しつつ、情報発信を通して地域の人たちに部活動を“見える化”できればと思っています。いろんな目が入ることで自然と開かれた環境になり、ハラスメントの予防にもつながると考えています。実現したいことはまだまだありますが、今はできるところから積み重ねている段階です。
バヌアツ陸上競技連盟会長と
部活動プロジェクト 地域住民説明会の様子
能登支援、バヌアツやIOCヤングリーダーとしての活動など多岐にわたるお話を展開してくださった糸見涼介さん。後編では糸見さんがスポーツ×社会課題に取り組むきっかけとなった思いを取り上げるとともに、スポーツを止めるな「災害支援スポーツネットワーク」が目指す価値について話を進めていきます。後編もお楽しみに!

災害復興にスポーツの力を−災害支援スポーツネットワークが目指す新しい価値 (前編) 続きを読む »